ドラ魂キング

ホームランダービーで浮かび上がったアメリカの人種差別問題

大谷翔平選手が出場するということで、日本でも大きな話題となったメジャーリーグのホームランダービー。

残念ながら大谷選手は1回戦で敗退してしまいましたが、出場したこと自体が日本人にとって快挙といえます。

7月13日放送『ドラ魂キング』では、CBC論説室の特別解説委員である石塚元章が、このホームランダービーについて少し違った視点で注目。

アメリカの社会問題との結び付きについて解説しました。

[この番組の画像一覧を見る]

開催地が変更された理由

今年のオールスターゲームおよびホームランダービーの舞台となっているのは、コロラド州にあるデンバーのクアーズフィールドですが、実はもともと違う開催地が予定されていました。

本来はジョージア州のアトランタに決定していたのですが、今年の春に急遽変更されました。

その背景には、ジョージア州でこの4月に新しく可決された法律があります。

少数民族、マイノリティの人々にとっては不利な内容となる選挙法の変更があり、身分証明を厳しくし、顔写真の身分証明書を持ってこないと選挙に参加できないなどの規定が追加されました。

マイノリティの人々は貧しい人が多いため、免許証などを持っていないケースがあり、表向きは選挙のルールを厳格に運用するためとしながらも、結果的にマイノリティの人々が政治に参加することを排除していることになります。
 

アトランタはどのような場所?

これに対してMLB(メジャーリーグ機構)は、「そんな法律を通すような所でオールスターはできない」として、開催地を変更。

スポーツと政治問題は切り離して考えるべきという考えの強い日本とは、また異なった考えですが、それは人種差別問題が根強いアメリカだからこその対応ともいえます。

アトランタといえば、かつてはオリンピックが開かれた場所でもあり、ジョージア州では他にも大きなスポーツ大会が行われている場所でもあります。

高田寛之アナウンサー「ゴルフのマスターズがアトランタに近い所で行われて、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブもずっと女性のメンバーを認めてこなくて。

ライスさんという女性の方(元国務長官)が初めてメンバーになるといういきさつもあったりして。

結構そういう意味では、非常に(人権に対する)意識を高く持っていた街だと思うんですけどね」
 

日本人がメジャーの舞台に立つということ

また、石塚もアトランタという場所の特性について語りました。

石塚「南部の割には、コカ・コーラ社やCNN、デルタ航空とか(世界的に有名な企業の)本社を持ってて。

ところが今回は差別的な選挙法ができたことに対して、『それは良くないよ』とデルタ航空やコカ・コーラも言ってるんですよね。

そういうところがちょっと日本と違うかもしれないけど、デンバーに移ったというのが象徴的なできごとですよね」

人種差別を乗り越えてきた歴史があるにもかかわらず、それに逆行する動きがあることに対して、メジャーリーグ機構も有名企業も「NO」を突きつけたといえます。

最後に石塚は、「大谷選手が(日本だけではなくアメリカでも)もてはやされている。それってすごく良いことだけど、日本人だってこのポジションに立てるのは、メジャーでは本当はあり得なかった。その歴史があるということを、頭の片隅に置いておくと良いかもしれませんね」とまとめました。
(岡本)
 
ドラ魂キング
この記事をで聴く

2021年07月13日16時42分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報