ドラ魂キング

廃棄するしかない…雪で凍結したリンゴを酒にする取り組み

農作物がうまく育つかどうかは天候次第。
収穫までこぎつけても、出荷されてわたしたちの目に触れる作物はほんの一握りです。
さまざまな理由で出荷できなかったものを破棄してしまうのは、実にもったいないことです。

5月11日放送のCBCラジオ『ドラ魂キング』では、リンゴを使ったお酒を造っている、伊勢市の伊勢角屋麦酒ついて紹介されました。

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出荷できないリンゴはどこへ?

リンゴは、秋から冬にかけて旬を迎える果物。主な産地は青森や長野など、雪深い地域が大半です。

実は、お酒に使っているリンゴは、ある理由から市場に出荷できなくなってしまったものを利用していました。加藤由香アナウンサーが理由を明かします。

加藤「積雪によって、リンゴが木に生ったまま凍ってしまって廃棄せざるを得なくなったものなんです」

この言葉を聞き、高田寛之アナウンサーも驚いたようです。

高田「それ、廃棄しなきゃいけないんだ…」

積雪にさらされると、リンゴは見た目が悪くなってしまい出荷基準に満たなくなってしまいます。出荷できないものは食べられる状態でも、破棄せざるを得ないのが現実。

そこで、廃棄せずお酒造りに活かしたのが今回紹介するお酒です。
 

リンゴがお酒になるまで

加藤が持参したお酒のラベルには、雪が積もったリンゴが描かれていました。
ラベルを見て、納得した様子の高田。

高田「そのままじゃ出荷できないから、何とかできないかってことでお酒にしてみたんですね」

伊勢角屋麦酒はビール醸造に定評があり、世界のビールコンテストで金賞を獲ったこともある定評ある会社です。

知り合いのリンゴ農園から「リンゴが使い物にならなくなって困っている」という話を聞いて、「ビールではなく、シードル(リンゴ果汁を発酵させた発泡性のあるお酒)を造ってみよう」と挑戦したそうです。
 

気になるお味は…

どんなお酒なのか気になる高田を前に、加藤が瓶を開けました。

高田「シュワシュワした感じの音が伝わってきますね」

炭酸のシュワっとした音を聞いていると、こちらまで飲みたくなってしまいます。
コップに注ぎ、乾杯して試飲します。香りを楽しんだ後、実際に飲んでみた感想は?

高田「これは大人の味ですよ」

白ワインのような味わいで、果汁を使っている割にあまり甘くないとのことでした。

使用しているリンゴは長野県飯綱町で生産されたフジという甘い品種。甘めのお酒を想像しがちですがシードルは甘みがそこまで強くありません。

香りが飲んだ後に残り、爽やかで飲みやすいお酒。様々な料理にも合わせやすく、用途が多いのも特徴です。
 

出荷できないものを活かす大切さ

2020年12月、各地で記録的な積雪が観測されました
この積雪で、出荷前のリンゴに雪が積もってしまい、凍結してしまったのです。

たまたま飯綱町のリンゴ農家の方には、伊勢角谷麦酒で修業した経験がありました。
この縁をきっかけに「リンゴを活用できないだろうか」と話を持ち掛けた結果、このシードルができたそうです。

皮まで使用したことで、美味しさに磨きがかかったシードル。出荷できず、廃棄されるものを利用することはSDGs12番目「つくる責任 つかう責任」に該当します。

収穫しても、見た目が悪かったり、規格外のサイズだったりして出荷できないものは数多く存在しています。

地元の道の駅や、朝市などで出荷できなかったものが売られることも増えてきました。わたしたちも、そうしたものを積極的に買うことで少しずつSDGsを実践していきたいですね。
(葉月智世)
ドラ魂キング
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2021年05月11日17時11分~抜粋

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