ドラ魂キング

日本でも感染の広がりが心配される「インド型変異ウイルスとは」

インドで猛威を奮っている、新しいタイプの変異ウイルスが日本でもこれまでに20例以上確認されました。

国立感染症研究所は警戒度を引き上げるという見解を公表、インド型変異ウイルスの日本での感染拡大が心配されています。

4月27日放送の『ドラ魂キング』では、CBC論説室の後藤克幸特別解説委員が「インド型変異ウイルス」について解説しました。

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渡航歴のない日本人にも感染

そもそもインド型の変異ウイルスというのは、どのようなウイルスなのでしょうか。

ウイルスは、人の細胞の中に入り込んで感染を広げていくもの。

細胞の中に入り込むときの鍵を開ける需要な役割を果たしているのが、ウイルスの表面に付いている「スパイクタンパク質」です。

このスパイクタンパク質を形作っている成分の複数個所の遺伝情報が、従来のウイルスとは違うものに入れ替わっています。

インド型変異ウイルスは昨年12月にインドで見つかり、その後イギリス連邦であるイギリス、カナダ、オーストラリアなどの国に、またたく間に広がりました。

日本でも、空港検疫で外国からの入国者に変異株の感染者が判明。

先週はついに渡航歴のない日本人からも見つかるなど、すでに20例以上確認されています。

 

感染力やワクチンの効果は?

最も心配なのは、その感染力やワクチンの効果です。

アメリカで公表されている最新の研究では、感染力が高まっている可能性、そしてワクチンが効きづらい可能性についても情報が出始めています。

日本の国立感染症研究所は、「インド型変異ウイルスの症例数が少ないので、確定的なことは今の段階ではわからない」というスタンス。

それでも、インドで感染が爆発的に広がっている状況に注目をしていて、「日本でも警戒レベルの段階を引き上げ、今後は実態調査を強化したい」と話しています。
 

闇市場で取引される酸素ボンベ

変異ウイルスが爆発したインドでは、一体何が起こっているのでしょうか。

4月26日の発表では、1日の新規感染者数が35万人を突破。

27日も30万人以上の感染が報告され、連日30万人が患者として発生しています。

インドでは、3月に宗教上の理由で多くの人が集まるイベントが行われました。

それ以後、3~4月にかけて感染者数が急増、特に変異ウイルスの患者が非常に多くなっています。

インド国内では病院の空きベッドがほぼなく、新たな患者は自宅療養を余儀なくされています。

深刻なのは、病院で治療に使われる医療機器の不足。

特に患者の命を繋ぐ酸素ボンベが不足しており、イギリスBBCの報道によると闇市場では通常の10倍以上の価格で取引きされているということです。

酸素がないため病院で治療を受けられず、毎日多くの重症患者が亡くなっています。
 

「決して甘く見ないでください」

「インドで起きていることは決して他人事ではありません」と後藤解説委員。

「変異ウイルスの拡大は、これまでとは状況が違うということを肝に銘じてください。感染力が強く、若い人でも重症化するリスクの高いこの変異ウイルスの拡大を、決して甘く見ないでください」と訴えます。

日本はこれから大型連休へと突入します。

長く続く自粛生活にうんざりという声もありますが、再度気を引き締めて「ウイルスを拡大させない」という強い意志が国民一人ひとりに必要です。

「しっかり対策をしないと、また10日後、2週間後、たくさんの患者さんが出るということになります。ここが正念場。本当に怖いですから、変異ウイルスを甘く見ないようにしてください」と警鐘を鳴らした後藤解説委員でした。
(minto)
 
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2021年04月27日16時44分~抜粋

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