新型コロナウイルスが再び大都市圏を中心に猛威を振るっていたり、全国的に記録的な豪雨災害も発生しています。
他にも経済面などでも問題が山積みとなった日本ですが、困ったことに国会は閉会したまま。
そこには世界でも珍しいという日本独特の国会事情があり、それを利用した与野党の駆け引きも見られるようです。
7月29日放送の『ドラ魂キング』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が日本の国会事情を説明します。
議論してほしいんだけど
「国会で議論して欲しいことと、決めて欲しいことが山ほどあるんですね。ところが国会はいま閉会してますね」
少数で専門的なことを議論する委員会も、今は閉会中審査といって特別に認められたものだけしか開かれていないそうです。
しかも、そのペースも週に1回か2回程度だとか。
「大きいニュースになっているのが、コロナもあるし、豪雨の災害もあるので、臨時国会開くべきじゃないのか?と、野党が正式に自民党側に申し入れをしたこと。
自民党側は、『よしわかった!』っていう返事じゃないので…」
さて、臨時国会は開かれるのでしょうか?
開きたくない理由
これまでも同じようなことが何度もあったそうです。自民党(与党側)が政府に伝えます。決めるのは政府。
しかし政府は「はい、わかりました」と二つ返事ではいかないようです。これまでの傾向からすると…。
「どちらかというと国会を開いちゃうと野党に責められる。責められるところがテレビに映る。特に今は、いろいろとうまくやってない。
だから、あんまり開きたくないという事情が多分あるんだと思いますが」
憲法53条
憲法で、国会を開かせるルールが1つあるそうです。それが憲法53条。
衆議院か参議院どちらでも構いません。どちらかで1/4以上の議員が「開こう」と言ったら、臨時国会を開かなければいけないんだそうです。
「今回、『すぐにわかりました』っていうことにならなかったら、野党はこの憲法53条に基づいて、今週中に正式に『開いてよ』と言おうじゃないかと動いています。野党だけで1/4集まるんですよ」
臨時国会はいつ開く?
憲法53条は、少数意見でも、ある程度まとまったら大事にしましょう、という考え方なんだそうです。実は、この手を使って、国会を開くよう提言したことが過去に何回も例があるそうです。
しかし実際に開いたことはないんだとか。
では、憲法に開けと書いてあるのに、なぜ開かないのか?
実はこの憲法の53条には、何日以内に開けとは書かれていないのです。
「そこを盾に取って臨時国会を開かないとは、憲法を作った時には誰も思ってなかったでしょう。政府側としては先延ばしにしたり、うやむやにしたり、臨時国会を開いても冒頭で解散して総選挙というケースが相次いでいるんです」
珍しい会期制
日本の国会は会期が決まっています。メインの通常国会は延長できますが基本150日。1月から6月。だから先月、大事なことがあるから閉じずに延長しましょう、と言っても閉会したわけです。
そもそも国の後先を決めるのに時間制限を付けているのはおかしな話。会
期を国会議員の中で決めている国は珍しく、さらに細かく会期制がある日本はいっそう珍しいそうです。ここで海外を見てみると…。
例えばフランスは、日本でいう通常国会にあたるものが9カ月ぐらいと、日本より4カ月ほど長いそうです。イギリスは事実上、通年国会。休みの方が決まっていて、後はずーっと国会は開いているそうです。
ドイツは、そもそも会期という概念がないんだとか。ずーっと国会が開いているわけではないのですが、会期という概念がないため、必要な時にはいつでも開くことが出来るんだそうです。
働いてよ
珍しい日本の会期制。それを与党は責められないように利用しているんですが、実は、野党も利用しています。政府が出した法案を通さないために会期末までごねて、結局、廃案にしたり、議論自体をさせない審議拒否もあります。国会議員の基本の仕事は議論なのに。
「与党も野党も都合よく利用してきたんですけど、コロナのこの状況です、国会も閉じて、総理は正式な会見に出てこない。世論も流石に『国会議員働いてよ』って思ってるんじゃないですかねぇ」
コロナに豪雨、沖縄県の尖閣諸島では中国による領海・領空侵犯…問題は山積み。憲法52条で臨時国会は開くのでしょうか?国会議員働いてよ。
(尾関)
ドラ魂キング
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2020年07月29日16時43分~抜粋