ドラ魂キング

人間関係が希薄な令和にぶつける、昭和の人情喜劇『男はつらいよ』

12月26日『ドラ魂KING』では現在公開中の映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』(山田洋二監督)について、CBC論説室の北辻利寿特別解説員が熱く語りました。
最新技術で蘇ったという寅さん、いったいどんな寅さんなのでしょうか?

[この番組の画像一覧を見る]

お正月と言えば

「昔はお正月、お盆といえば映画は寅さん」と北辻委員。
とはいえ、寅さん役の渥美清さんは23年前に亡くなっており、この言葉も遠い過去のものになっています。

そして今回の作品、寅さんは4Kデジタルの技術を使って過去の映画シーンから登場しているんだそうです。

『男はつらいよ』シリーズは、今回が50年目にして50作目で、過去49作の観客動員数は8,000万人。
“一人の俳優が演じたもっとも長い映画シリーズ”としてギネスに認定されています。

マドンナ

寅さんと言えば、毎回登場して寅さんが恋心を抱くマドンナ。
過去のマドンナは吉永小百合さん、浅丘ルリ子さん、八千草薫さん、大原麗子さんなど実に豪華な女優陣。

今回はリリー役の浅丘ルリ子さんが6度目の登場を果たします。

北辻「妹のさくらの役は倍賞千恵子さん。倍賞さんは今回も、現代のさくらとして出てきますから。それも楽しみです」

ストーリーは?

今回のストーリーは、寅さんの甥の満男(演・吉岡秀隆)と、その初恋の人だったイズミ(演・後藤久美子)の再会がストーリーの中心。
サラリーマンを辞めて念願の小説家になった満男ですが、妻に先立たれ、中学生の娘と二人暮らし。そこへ初恋の人が…という内容。

北辻「そこに寅さんがいろいろと出てくるんです。回想シーンでも出て来るけど、時々、フッと階段でのぞき込んだりとかですね。これ以上しゃべるとね…。
私、試写会で見ましたけど、そういうちょっと変わった楽しい映画ですよね」

満男とイズミ

今回の主人公である満男は、第一作目から登場しています。
映画の後半で寅さんの甥として誕生し、吉岡秀隆さんが演じるようになるのが第27作『男はつらいよ 浪速の恋の寅次郎』(1981年)から。

満男の初恋を描いた、後藤久美子さん演じるイズミが登場するのが第42作『男はつらいよ ぼくの伯父さん』(1989年)。イズミはここから第45作『男はつらいよ 寅次郎の青春』(1992年)まで、満男の彼女として4作連続登場しています。

またイズミは第48作『男はつらいよ 寅次郎紅の花』(1995年)にも登場しますが、この作品で、伯父の寅さん同様に恋愛が下手な満男はイズミと別れてしまうのでした。

最新作では実に24年ぶりの登場となります。

魅力は昭和

寅さんシリーズの魅力を語る北辻委員。

「この映画が良かったのは、やっぱり家族。寅さんが葛飾柴又生まれで、その家族とのふれあい。そして寅さんが旅先で出会う人たちとのふれあい。人情喜劇というのが、この映画の魅力です」

『男はつらいよシリーズ』では渥美清さんが歌う同名主題歌がお馴染みですが、50作目の今回はサザンオールスターズの桑田佳祐さんが歌っています。
山田洋次監督が直々に桑田さんへラブレターを書いたんだとか。

一部の映画館では、こどもにも見やすいように中学生以下は100円で見られるキャンペーンも行われているとか。
日本の昭和の良い部分を、平成を通り過ぎて、令和の時代にも伝えたいという思いが伝わってきます。

「この冬は、忘年会スルーみたいな事が言われていて、割と無縁社会。なんとなく人と付き合わない社会。そんな中にこの映画が飛び込んで来て、どんなリアクションが日本に起こるのか?ちょっと楽しみなところがあります」

令和最初のお正月映画は、昭和の香り満載の『男はつらいよ』でいかがでしょうか?
(尾関)
ドラ魂キング
この記事をで聴く

2019年12月26日17時02分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報