ドラ魂キング

達川光男が語る。「ささやき戦法」を完全に無視したのは中日のあの選手!

1980年代に広島カープの捕手として活躍し、2014年から2年間、中日ドラゴンズで一軍バッテリーコーチを務めた達川光男さんが、12月11日放送のCBCラジオ『ドラ魂キング』に出演しました。

リスナーから寄せられた質問をもとに、首位打者を取る選手たちにある共通点や、達川さんの必殺技「ささやき戦法」を完全に無視したあの選手について語ってくれました。

宮部和裕アナと山内彩加アナが、達川さんにお話を伺います。

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「ささやき戦法」は独り言

宮部アナがおたよりを読み上げます。

「落合博満選手が、広島最終戦で5打数5安打だったら首位打者を取れるという試合で5の5を打ちましたが、あれはさすがの達川さんでも配球を読まれていたのですか?」(Aさん)

この質問に、「読まれたというより、執念というか」と達川さん。

「言っていいのかどうかわからないのですが…」と前置きをしてから、「独り言をぼそぼそいうんですよ。一応選手に話しかけてはいけないとか、審判と話しをしてはいけないという規定があるものの、独り言はいいんですよ」と自身の得意技「ささやき戦法」について教えてくれました。

達川さんによると、あくまでも「独り言」というわけです。

「三冠王は取れねぇよ!」

達川さんが当時を振り返ります。

落合さんの4打数4安打の後、最後に出てきたのは若いピッチャー。

達川さんは「落合さん、もうこらえてあげてくださいよ。もう4の4打ってるじゃないですか。抑えたら自信になるんでね、よろしゅう頼んますよ」と落合さんに向かって…ではなく、あくまでも独り言として呟きました。

この達川さんの独り言に落合さんは、「おめぇ、こんなおいしいピッチャー打たなかったら三冠王は取れねぇよ!」

この時、「おい!三冠王か!言うことが違うな」と思ったという達川さん。

若松、古田、落合の共通点

「三冠王は最後の打席が一番大事。そこで手抜きするかどうかで違ってくる」と達川さん。

実際、落合さんは試合の終盤ほど打率が高い傾向にありました。

達川さんによると、王さん長嶋さんなどのレジェンドよりも、最後の打席がしつこかったのは、元ヤクルトの若松勉さん、古田敦也さんと、落合さん。

宮部「皆さん首位打者取ってるじゃないですか!」
達川さん「首位打者になろうと思ったら、無駄な打席は作っちゃいけないということですよ」

宮部「達川さんの“ささやき戦法”は彼らには通用しなかったということですか?」
達川さん「もう全然通用しないですね」

一番無視した男

達川さんいわく、この「ささやき戦法」を一番無視したのは、なんと立浪和義さん。

プロ1年目からレギュラーだった立浪さんに、「おいPL!おいお前、挨拶ないんか!」と気合をかけても立浪さんはしらーん顔だったと言います。

「先輩から言われてたと思うんですよ。『達川が言うけど、絶対無視しろよ』と」と、いろいろアドバイスされていたのだろうと推測する達川さん。

立浪さんが達川さんに挨拶をしたのは、最初の打席のみ。

「こんにちは。ういっす、よろしくお願いします」

そんな立浪さんを、「顔はええし、守備はうまいし、バッティングはシャープだし」と、べた褒めの達川さん。

立浪さんとの、こんなエピソードを語ってくれました。

「まさか初球打たんだろうな」

「山本昌が投げてたんですよ。山本昌がワンアウトランナーなしで、左中間にヒットを打った。ブラウンという外国人選手がダイビングして取って、山本昌がセカンドまで走ってアウト」

この時5回裏。
広島が2対1で中日をリードしていました。

続くバッターは立浪さん。

「山本昌がハァハァいってるから、まさか1番打者が初球打たんだろうな。礼儀だろう!大先輩がハァハァいってるから打たんだろうな。PLまで出てるヤツが、そういう野球は知ってるだろうな」

立浪さんに、達川さんの強烈な独り言が炸裂!

「北別府(学さん)に、『(立浪は)絶対打たんから、ど真ん中ストライク(とサイン)』『オッケー』。北別府コントロールいいから、ど真ん中。立浪が1、2の3で、足をあげて、ライトポール際にホームラン!」

この話に、思わず歓声をあげてしまう宮部アナと山内アナ。

立浪さんは達川さんの「ささやき戦法」を完全に無視して、見事なホームランを打ったのです。

最高の褒め言葉

試合後の談話で、普段は多くを語らない立浪さんがこう話しました。

「いつも達川さんからバッターボックスでいやらしいことばかり囁かれてるんで、やっつけてものすごく気持ちがいい!やりかえしました」

「あれはやられたね」と振り返る達川さん。

「それから北別府と3日くらいものいわなかったですよ」と、気まずい思いも明かしてくれました。

「ホームランを打てば、山本昌さんに最高の時間稼ぎにもなる!」と興奮気味の宮部アナに「オチがあるんですよ」と達川さん。

達川さん「5回の裏で、土のグラウンドだったから。グラウンド整備があるという計算だったんですよ!」
宮部アナ「そうか!たとえ凡打しても!」

「さすが立浪は私の一歩も二歩も前へ行ってますね。なかなかしたたかですよ、彼は」と、立浪さんに最高の褒め言葉を送った達川さんでした。
(minto)
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2019年12月11日16時00分~抜粋

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