聞くだけで痛い。昭和のピッチャーの血豆処理の方法を大公開

ドラ魂キング / スポーツ

なかなか梅雨が明けず、屋根のないスタジアムではピッチャーが雨の中を投げることも増えています。
当然ながら投球内容にも大きな影響が出てしまうのではないでしょうか?

7月13日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』では、阪急(現オリックス)を代表する投手だった野球解説者の山田久志さんが、投球に必要な指先の湿り具合、さらには昭和のピッチャーの指先のお手入れ方法を語りました。
聞き手は若狭敬一アナウンサーです。

ピッチャーと湿度の関係

今はナゴヤドームも含めてドーム球場が非常に多くなっているので、雨の中での試合を目にすることは少なくなりました。

山田さんの現役時代には、雨の中のプレイが今よりも多かったはずですが、雨の中で投げるのは好き?嫌い?どちらでしょう?

「好きな奴はいないだろう。アレ、好きだというやつは、よほどおかしなヤツ。ただ、小雨は良い。振ってるか降ってないかわからない、下も緩まない程度の小雨。あれはいいの」

なんでも小雨の時は指先がしっとりしていて、ボールが手に吸い付くような感じで、ピッチャーにとっては非常に投げやすいそうです。
湿り気が欲しくて自分の汗などを指先にちょっとつける投手もいますが…。

「あれ、本当は違反なんだよ。ただ、拭く動作があれば大丈夫。拭いたって言う意思表示があれば。そのままの手でボールをこねたらダメね」

ただし、拭いたことを審判にアピールして、実際には拭いてる人はいないそうです。

「拭いたらもったいないじゃない。せっかくの水分を指先にもらったのに、それ、わざわざ拭かなくていい」
 

ロージンよりも土が好き

若狭「滑り止めにはロージンバッグ(滑り止め剤の粉末を詰めた袋)もありますね?」
山田「ロージンは使う人と使わない人いるの。一球一球使う人いるでしょ?」
若狭「ヤクルトの石川(雅規)…」
山田「あれは違反よ。彼は使いすぎ!」

即座に反応する山田さん。

「私は、土の方が好きだった」

こう話す山田さん、ロージンの代わりに土を付けていたそうです。

「西宮球場って黒土だったんですよ。確か鳥取県の土です。湿り気があって非常に良い土なんですよ。それをババッとつけてね…」

そして、膝の辺りで拭いて、ボールを投げていたそうです。
 

ボールと言えば

かつては公式試合で使われるボールは6~7種類あったそうですが、現在はミズノ製に統一されています。

「当時からミズノのボールが一番良いって言われてたの。よく飛ぶし、ピッチャーも投げやすい。飛ばない、距離が落ちるってボールもあれば、ミズノに近いぐらい飛ぶボールや、いろんなボールがあった」

最近の投手は、少しショートバウンドするだけで新しいボールに変えますが、山田さんの現役時代はどうだったのでしょうか?

「あり得ない。観客席へ飛んだやつは、また帰って来たんじゃないかな」

実はスタンドに入ったボールをお客さんが貰えるようになったのは最近とのこと。当時は観客席に係員がいて返してもらっていたそうです。

「でも、欲しくて欲しくて、取って逃げてるやつもいたけどね。その気持ちわかるよね。あれを返してもらって、また使ってたんじゃないのかな」
 

握っただけでボールが分かる

ボールは投球のたびにどんどん汚れていきます。

「あんまり汚れたやつは好きじゃなかったね。デリケートなの」

山田さんはちょっと黒くなったり傷んでくると、ボール交換を要求したそうです。

「それと縫い目。縫い目がピチッとしてるやつは投げやすいんですが、飛ぶんですよ」

ボールの縫い目について語りだす山田さん。後半勝っている時は、打たれても飛ばないボールが良い。つまり少し使われたボールで、縫い目が多少荒れている方が良いわけです。

「ピッチャーってボールを変えられる権利を持ってるんですよ。ピッチャーは何回もやってきたらね、握っただけで、このボールは飛ぶか飛ばないかわかるの。

もうアンパイヤから返ってきてグラブから取ったら、このボールは飛ぶか?飛ばないか?大体わかる」

例えば1点リードでバッターに落合(博満)選手を迎えたらボールを変えるという山田さん。
しかし、また飛ぶボールが来てしまったら?

「二回目はアカン。それは許してくれん。ちゃんと投げなさいって言われる」
 

デリケートな指先

「そのくらいピッチャーの指先はデリケートなんですよ。今のピッチャーは投げ込まないから血豆出来ないし、爪が割れたりしないじゃない。昔のピッチャーってみんな、そういう用具一式持ってたの。だから現役時代、右の爪は爪切りで切ったことないんですよ」

それぞれが専用の爪のお手入れ道具を持っていた時代。
山田さんは爪の処理は爪きりではなく、ヤスリで削っていたそうです。
さらに詳しく言うと、指先を横から見た時、指先の肉と詰めの長さは同じにしていたんだとか。

指先よりも爪が長いと割れ、短く深爪すると痛くてダメなんだそうです。爪が割れた場合は、まず白い絆創膏の様なものを貼り、さらにその上から保護するものを塗っていたと言います。
 

血豆の処理は職人芸

「血豆出来たら、どうやってその血豆取るか知ってる?」

なんと細い注射針を使うそうです。「うわぇお~」と苦痛のうめき声を上げる若狭アナ。

山田「全然痛くないの。そんな顔せんでいい」
若狭「いま私、顔面しわくちゃですよ」
山田「注射嫌いだもんね」
若狭「嫌い!」

血豆に針を刺して、溜まってる血を出すんだそうです。

「そのまま投げたら皮がめくれて、また豆が出来てくる。じゃあ、どうするか?その奥の皮を早く再生させなきゃいけない」

血豆の地は抜けても、まだ水分があります。その水分を飛ばすんだそうです。

「何で飛ばすかって言うと、タバコ吸う人はタバコの火。ジワーっと近づけては、ピッと引っ込めて、それを延々とやってるの。火箸みたいなやつを熱くしてやるの。凄いでしょ?」

「昭和のピッチャーの後ろ姿ってカッコいいなあ。職人芸ですね」と感嘆する若狭アナ。
指先の処理まで気を使っていた昭和のピッチャーならではの逸話です。
 

まさかのネイルサロン

若狭「だからですか?山田さんが、今でもネイルをされてて、丹野みどり(フリーアナウンサー)とばったり会うっていうのは…」
山田「そんなことは話さんでよろしい!…私、某デパートに、たまに買い物行くじゃないですか。ここにネイルサロンあるわ、と思ったわけ」

さらりと「ネイルサロン」という言葉を発する山田さん。誰にもわからないだろうと、通されて座ったら…。

山田「横から『あ、山田さん』って丹野さんが。あら~、マズい人と会った。必ずどっかで言われるなあと思った」

「みんな知ってますよ」と返す若狭アナに、思わず「知ってる?」と大きい声を出してしまった山田さんでした。
(尾関)
 
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2019年07月13日13時16分~抜粋

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