元中日ドラゴンズの野球解説者・彦野利勝さんが12月25日放送のCBCラジオ『ドラ魂KING』に出演し、野球中継で使われる言葉「ドアスイング」について解説しました。
日常生活では滅多に聞くことがないこの「ドアスイング」なる言葉、彦野さんはどう説明するのでしょうか。
初めて聞いた言葉
リスナーからの質問です。
「ドアスイング、中学生の僕にもわかるように教えてください」(Aさん)
「SHIMAちゃんは"ドアスイング"と聞いて何だと思います?」といきなり尋ねる彦野さん。
チアドラのSHIMAは「初めて聞いた言葉なんで、どんなんかなと思いつつ。良い意味で使うのか、悪い意味で使うのかもわからないぐらい聞いたことがないです」と答えます。
いったいドアスイングとはどんなスイングなのでしょうか?
「映像があると一番わかりやすいんですけど…なるべくわかりやすくします」と説明を始める彦野さん。
ドアスイングとは?
まずは普通のスイングの説明から。
スイングを下から順番に見ていくと、足で踏ん張って、腰が回転して、腕、肘と動いてきます。最後はバットを持っている手首が回転します。
こういう身体の動きでバットの先、ヘッドがグルっと動いてボールを打つわけです。
バットを持っているところをグリップと言います。スイングの時に回転する体の動きを止めてしまうと、バットはグリップを支点に小さくグルっと動きます。これがドアスイングです。極端に言うと手首の回転だけで打とうとするのがドアスイングです。
彦野「蝶番が支点になってドアが開く。ああいうイメージです。バットのヘッドをそういう動かし方をしてしまう」
バットのヘッドの動きをドアの動きに例え言った言葉が「ドアスイング」。
学校や公衆トイレのドアの動きが、まさにドアスイングです。
ドアスイングで打つと?
彦野「足が止まって打つと、手ばっかりになるでしょう?そうなるとヘッドが外側から回ってくるような感じになってしまう。簡単に言うと"手打ち"ですね」
では、ドアスイングになるとどうなるのでしょうか?
彦野「下半身を止めてしまうことによって、腕だけで、上半身だけで振ってしまいます。すると巻き込んだような打ち方になるので、打球としては引っ掛けたような打球になることが多いですね」
右バッターだとサードゴロやショートゴロ。左バッターだとファーストゴロ、セカンドゴロが多いそうです。しかも、あんまり良い当たりにはならないそうです。
それゆえ、ドアスイングでホームランということはあり得ないとのこと。
ドアスイングの逆は?
彦野「内側からバットを出して、前に振れというのが正しいスイング。これをインサイドアウトと言って、身体の近くをバットが通るイメージです」
正しいスイングをしている時はドアスイングになりにくいそうです。
彦野「最終的にバットのヘッドが、ゆっくり後ろから来るので、外から引っ掛けることがほとんどないんです」
インサイドアウトのスイングをしていれば当たりの悪いゴロにはならないわけです。
ドアスイングは調子が悪い時
彦野「調子が悪くなってきた時は、ドアスイングになりがちなんです。何でかって言うと、タイミングが合わなくなってきて、足が先について止まってしまったり。そうすると上半身で球を追っかけて、引っ掛けで打ったり。
よくバッティングは下半身で打てと言いますが、下半身が止まってしまうと、どうしても上半身に頼ってしまって手打ちになる。
そうなると芯に当たっているような感じがするんですけども、巻き込んで打っているので、引っ掛けたような打球が多い」
例え芯に当たってもドアスイングではファールになってしまうそうです。
現在の中日ドラゴンズに、そういう選手はいるのでしょうか?
彦野「今年で言うと京田選手です。調子が良くなかった時に、セカンドゴロとかファーストゴロがやたらに多いことがありました。自分では芯で捉えてるつもりなんですけど、どうしても引っ掛けてしまう」
ドアスイングになったら?
ドアスイングの修正は可能なのでしょうか?
彦野「意識として、いま言ったようなことをしっかりしていれば可能です。調子が悪ければ悪いほど、足は動かさないといけません」
つまり下半身を動かすことと、バットのヘッドが外側に行かないようにすればいいんでしょうか?
彦野「ヘッドが身体と同じように回ってくれば、心配しなくてもドアスイングにはなりません。あんまり別々に考えない方が良いです。ちゃん下半身から動いてくれれば心配いりませんよ。中学生の子、わかったかな?」
中学生でもわかる彦野利勝先生のドアスイング講座でした。
(尾関)
CBC
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2018年12月25日18時32分~抜粋