元中日・今中慎二が語る。名打者からは「やる気が伝わってこない」

ドラ魂KING / スポーツ

元中日ドラゴンズ投手で野球解説者の今中慎二さんが、12月19日放送のCBCラジオ『ドラ魂KING』に出演し、自身のコーナーでプロフェッショナルと感じた対戦バッターについて語りました。

このバッターについて今中さん本人が感じていたことと、ファンが感じたことにギャップがあったようです。

プロフェッショナルなバッターとは?

「自分がバッターの持ち味って何だろう?って考えると、ホームランであり、打率であり、やっぱり職人さんみたいな人たちですよね」

まず今中さんが、自身が考える"プロフェッショナルなバッター像"を語りました。

今中「でも当時投げてて『この人は凄いな』っていうのはあんまり感じなかったですね。
自分が投げて、それを簡単に打つバッターには『この野郎』って感じで投げることは結構ありましたけど。『すげーなあ、脱帽』っていうのはないんですよね」

どうやら、打ち取ることと、打たれることは今中さんの中では別なことのようです。
 

敢えて勝負にいったバッター

今中さんは187回の先発中、ジャイアンツ戦で25勝しています。
この数字から如何にジャイアンツキラーだったかがわかります。

しかし、実は原辰徳さんと松井秀喜さんには結構打たれていました。
例として松井秀喜さんとの対戦成績を見てみましょう。

松井さんの、今中さんに対しての通算対戦打率は2割9分7厘でホームラン6本。
今中さんが最もホームランを打たれたのが松井さんでした。ただし、20三振というトップクラスの奪三振数もあげています。

今中「原さんもそうですけど、松井秀喜がルーキーから入ってきた時、何が嫌かっていうとフォアボールを出したくないんですよ。チームの顔であったりクリーンナップと対戦するのに、こっちが逃げてるなと思われるのが嫌なので、どんどん勝負していったんです」

それを聞くと、打たれたホームランが多いのに奪三振数も多いという松井さんとの成績も納得です。
ちなみに原さん、松井さん以外には阪神タイガースの顔、岡田彰布さんにも打たれていました。

「馬鹿正直に勝負するから打たれるわけですけどね」と言う今中さんですが、野球ファンはそこが楽しみなところです。
 

打たれることと苦手は違う

対戦バッターに対する苦手だったり得意だったりという心理はどこから働くのでしょう?

今中「打率を抑えてるから得意でもないし、逆に打たれてるから苦手でもないんです」

1990年、大洋ホエールズ(今の横浜DeNAベイスターズ)に、ジム・パチョレックという首位打者を獲った選手がいました。対戦成績は3割7分7厘でした。

今中「パチョレックはようやられたねえ。毎試合、何か3本は打たれてるもん。勝っても打たれてるから、監督によう怒られましたよ。『お前は、どんだけ同じバッターに打たれとるんや』って、勝ってても怒られるからね」。

監督の名前は出さなかった今中さんですが、1990年と言えばあの方です。

勝負にいって打たれたバッターも入れば、抑えたバッターもいます。
1991年に首位打者を獲ったヤクルトスワローズの古田敦也さんはトータルで抑えていますし、同じヤクルトのトーマス・オマリーさんとジャイアンツの元木大介さんは1割台に抑えていました。
 

致命傷になる打たれ方

今中「どのタイミングで打たれてるかってことです。致命傷になるような打たれ方をしているとインパクトが凄く強いんです。94年で言うと10.8で落合さんに打たれたホームランです」

1994年のシーズンは中日と巨人が最終戦までリーグ優勝を争っていました。プロ野球ファンの間では、その最終戦を「10.8決戦」と呼んでいます。
この年は落合博満さんが巨人に移籍して1年目でした。

今中「そのシーズンは落合さんにはほとんど打たれてないんですよ。抑えてるイメージはあったんです」

この試合では2回表、落合さんにホームランを打たれて先制された今中さん。2回裏に同点にしますが、3回表、またもや落合さんにタイムリーヒットを打たれ、勝ち越しを許してしまいました。

今中「"あの試合に打たれた"っていうインパクトがガッとくるもんで、次の年から落合さんと対戦すると、力がガンガン入っていくわけです」

落合さんの今中さんとの通算対戦打率は3割5分4厘。5ホーマー、18打点と打たれています。

今中「10.8までは、たぶんほとんど抑えている。ここっていうところでは打たれてないはずです。あれが起点になって落合さんの術中にはまってるんですよ」
 

余裕のあるバッター

今中「ツーアウト、ランナーなしでヒットを打たれることに関しては、それは『打たれた』じゃないからね」

どのシチュエーションで打たれたか、抑えたかが重要だそうです。
落合さんの他に強いインパクトを残したのは、広島カープの前田智徳さんだったそうです。

前田さんは通算2,119安打を打ち、カープの顔として活躍しました。対戦成績は2割5分9厘と抑えていますが…。

今中「なんかねえ、やる気なさそうな顔して簡単に打つんですよ。そうすると、こっちはくっそ~と思ってね」

それはゆったり打席に入るからじゃないですか?

今中「いや、違うんですよ。落合さんもそうですけど、やっぱり余裕のあるバッターって、あんまりやる気が伝わってこないんですよ。『いらっしゃい』って思われてるのに、こっちがカッカしていくから、やられるわけですよ。冷静になれって話ですよね」
 

球審にも伝わっていた

今中さんは、プロフェッショナルを感じたバッターはいなかったと言いましたが、野球ファンから見ると、そういう駆け引きにプロフェッショナルを感じます。それはファンだけではなかったようです。

今中「当時の球審も、その対戦を目の前で見てるでしょ?打席に入ると『なんであんなにムキになって投げるんだ?』と球審によう言われましたよ」

ムキになって投げると球速が2~3キロは必ず上がるそうです。

今中「だから審判も見ていて『あれ?』って思うんじゃないですかね。
他のバッターに手を抜いているわけじゃないけど、このバッターに関しては輪をかけて抑えにいかないと、という気になって、うまく踊らされてましたわ」

今回はピッチャーの心理がよくわかる放送回となりました。
(尾関)
 
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2018年12月19日18時31分~抜粋

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