ドラ魂キング

いつみても波瀾万丈!中日・木下雄介投手のサクセスストーリー

3/22の『ドラ魂KING』では江田亮アナウンサーが 、オススメの選手として木下雄介投手を取り上げました。

木下投手は独立リーグ・徳島インディゴソックスから、2016年の育成ドラフト1位でドラゴンズに入団。今年はシーズン前にも支配下登録間近と言われています。

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紆余曲折の野球人生


今年はキャンプからずっと一軍で、オープン戦も4試合投げて防御率1.80と、安定した成績を残していて、支配下登録どころか一気に開幕一軍入りも考えられる木下投手。
なぜ江田アナが彼をイチオシにしているかというと、「木下投手の今までのキャリアを見ていくと、本当にまだまだ未完の大器で、ただ今絶賛成長中、今後もっと良い投手になる可能性を感じさせる」からだそうです。

実は、木下投手に絶大な期待を寄せているのは江田アナだけではありません。前週の3/16に放送された『ドラ魂KING 川上憲伸 KK SPECIAL』では、宮部和裕アナウンサーも木下投手について熱く語っていました。
今回は、その時の情報も交えつつ詳しく紹介していきます。

木下投手はとにかく雑草に次ぐ雑草の野球人生でして。

まず、在籍していたのは徳島県唯一の私立高校・生光(せいこう)学園高校。有名なOBでは元日本ハムファイターズの武田久投手がいますが、甲子園出場はまだ一度も果たしていません。
高校時代の木下投手はエースではなく、背番号は17番でした。が、全ての試合に先発して、2011年夏の県大会で準優勝まで導きます。

そこから、生光学園の監督の母校でもある野球の名門・駒澤大学に進学。プロへの夢を抱き始めますが、肘を故障。140km/h半ば出ていたストレートも披露できず、1年生で退部・中退してしまいます。

とんでもないポテンシャル


ここからが異例なのですが、木下投手は2年間野球から完全に離れてしまうのです。故郷の大阪に帰り、日雇いのアルバイトや、スポーツジムのインストラクターなどで生計を立てるようになります。

そのジムで契約社員だった年上の彼女(現在の奥さん)と出逢い、その後サラリーマンの営業職へ。

ある日、軟式草野球の助っ人に駆り出され、投げてみたら周囲が言葉を失う程の豪速球を連発。肘の痛みも消えていました。
その姿を見た奥さんは、こう言ったそうです。

「もう一度野球をやってみたら?サラリーマンをしているあなたの顔は辛そうよ…」

と言っても、野球に関係ない生活をしてきたので、何のツテもありません。
が、高校時代に四国選抜のチームメイトだった選手が、独立リーグの四国アイランドリーグで活躍していたことを思い出し、その彼のFacebook経由でリーグの選手募集を知ります。

そして徳島インディゴソックスに入ることになりますが、正規のプレーヤーではなく、練習生という立場の、更にその練習生候補という、見習いの見習い的な立場なのでした。

しかもこの時点で球速はわずか128km/h。しかしここから147km/hまで回復。ちなみに、昨年ドラフト4位指名の新人・清水達也投手は花咲徳栄高校時代、3年間で120そこそこから150km/hにまで上げたそうですが、木下投手は何と、たったの1ヶ月で上げたんだとか。

何か特別なことをしたわけでもなく、普通に練習していたら元に戻ったそうで、ここがまず天賦の才能を感じさせるところですね。
他の大学・社会人投手よりも全然身体を酷使していないし、きっちりトレーニングすればまだまだ伸びしろがありそうだと期待させるのです。

やはり家族はありがたい


急加速で這い上がった木下投手ですが、チームのエース格は別にいて、NPB球団からも注目されていました。

ある日、スカウト陣が視察する中、先発したエース格が何といきなり死球を与えて危険球退場。急遽マウンドに上がった木下投手は、アピールの機会をモノにしようと150km/hを連発し、結果ドラゴンズの育成ドラフト1位指名を受けます。
ここもまた、巡り合わせの妙と言えましょう。

ただ木下投手は憧れのNPBからの指名とはいえ、ほんの数百万円しか得られない育成契約で、妻子を養っていけるのか、義理の両親を安心させられるのか不安だったそうです。
ですが、ためらいつつ帰宅した木下投手を迎えたのは家族からの「おめでとう!頑張ってね」の笑顔、笑顔。

その祝福に迷いが吹っ切れた木下投手は、1年間は勝負をかけるべく、妻子と離れて寮での野球漬け生活を即決。1年目の昨季は二軍で22試合登板、MAX151km/hを連発し、評価を上げていったのでした。

まだまだ夢の途中


プロ入りした木下投手を初めて見た江田アナは「何て細いピッチャーなんだ」と思ったそう。

今でも変わらず細身の身体で、150km/hの球をバンバン投げています。ブルペン捕手のルイスさんに聞いたところ「球速以上に速く感じるし、何より回転が速く球が生きている。今は疲れているからこのぐらいのスピードだけど、もっと速く出ます」という驚異の答えが。

勝崎耕世トレーニングコーチに「何でこんな球が投げられるんですか?」と尋ねてみたら、こう返ってきました。

「彼はとにかく足が速いんです。足が速い人は身体の使い方が上手い。身体の力をムダなく伝えることができる。だから彼はあれだけの球が投げられるし、球持ちもいい。
ただ、速く動けるということは、“止める力”も大事なので、今後はその力がついたら彼は超一流ですよ」

末恐ろしいとはまさにこのことですね。

「ズバリ言います。私の取材した感じでは、おそらく週明けに支配下登録されるだろうと読んでいます」と言い切った江田アナ。
その予想通り、いや予想より早く、放送翌日の3/23(金)にめでたく支配下登録されることになりました。

「支配下登録がゴールではなく、シーズンでの活躍をしないといけません。この前のナゴヤドーム、松坂さんが投げた後を任された時、ファンの歓声が凄すぎました。ずっとあの場所で投げ続けたい。先発もしたいですし、とにかく試合のラストにマウンドに立っていたい。サファテ(ソフトバンク)やメジャーの上原(現巨人)さんのような、ゲームセットの瞬間に憧れます」

と、宮部アナが取材した時に語っていた木下投手。

さあ、間もなく開幕。江田アナや宮部アナも、木下投手の勇姿を実況しようとウズウズしていることでしょう。
(岡戸孝宏)
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2018年03月22日18時19分~抜粋

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