ドラ魂キング

オープン戦で大事なのは、勝敗か調整か?川上憲伸が教えます。

最強の中日ドラゴンズ応援番組を目指す『ドラ魂KING』。
金曜日は、元ドラゴンズのエースで野球解説者・川上憲伸がパーソナリティを務める『ドラ魂KING 川上憲伸 KK SPECIAL』と題して放送しています。

3/2の放送では、オープン戦に選手はどういう気持ちで臨んでいるのか、川上が語りました。

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結果が重要か、中身が大事か

昔からよく言われるのが、「オープン戦は勝利や結果にこだわるべきか、調整と割り切るべきか」というもの。これは、現在のチーム状況によると川上は言います。

広島東洋カープのように、ある程度固定されたレギュラーメンバーが6、7人決まっていて、残りの1、2枠を争う形のチーム。
一方、ドラゴンズのように、レギュラーが保証されている選手が1、2人しかいないチーム。
当然、オープン戦に対する取り組み方は違ってきます。

ドラゴンズの場合なら、出場選手が毎試合のように変わってきます。選手もシーズン中と同じように結果を残さなければ生き残れません。
観客からすれば、適当なプレーの無い必死な姿が見られるという面白さがあるでしょう。

ただ、そういう必死にやらなきゃいけない若手選手は、大体オープン戦の最後の方でバテてしまうそうです。考えてみれば、オープン戦どころかキャンプ初日からフル稼働しているわけですから。
それで、結局開幕は二軍に落ちるというパターンが多いのですね。

主力ならではの楽しみ

それに対して、ある程度実績を積んできた選手は、オープン戦は調整の意味合いが大きくなります。あくまでもシーズン開幕後が重要なのです。

入団して数年後にはチームの柱となった川上の場合はどうだったのでしょう?
川上いわく、オープン戦は「プレッシャーも程よくありながら、程よく野球を楽しめる」ものだったそうです。

「一応、登板前日は”軽く心臓があぶられる程度”で、ちょっとだけドキドキした」と、独特の表現を使った川上。
公式戦なら、心臓がレアやミディアムになったりするのでしょう。ウェルダンまでいくと、やられた感が出てきちゃいますけど。

もちろん、オープン戦ぐらいではいちいちゲン担ぎもしません。

程よい緊張感の中、楽しみだったのがパ・リーグとのオープン戦。交流戦の無い2004年までは、パ・リーグとの対戦が新鮮だったのです。
「うわあ、中村ノリさん、すっごい足上げてるなあ」とか、当時近鉄バファローズにいた中村紀洋選手のバッティングフォームを見て興奮したり。半ば、ファン目線ですね。

さらにビジター球場に行った時、食事会場で「うわっ、北海道では結構美味しいものが出るなあ」「ロール寿司が出てくるんだー」という声が出るなど、普段は行かない場所での食事も楽しみだったということです。

肉を斬らせて骨を断つ

さて、他球団に新外国人選手が入ってきた時、オープン戦ではどんな投球を心がけていたのでしょうか。
今だから話せると前置きして、川上が語ります。

「僕なら、スローカーブは投げないですね。外国人選手にはとにかく緩急を使いたくないです。シーズン中の大ピンチの時にとっておきましょうって感じ。直球とカットボールをアウトコース中心に投げていって、相手が捕らえる球を確かめる」

ミスせず捕らえるのは好打者。シーズン中はそこに投げてはいけない。コントロールがない投手は、あえてそこの近辺に投げて釣ろうというのもダメ。それらを確かめるのがオープン戦なのです。

これは、よく川上とバッテリーを組んでいた谷繁元信捕手が、口には出さずともそういうリードをしていたそうです。
最初の頃は「何でインコースに構えないのかな」と不思議に思っていた川上でしたが、段々「さすが谷繁さんだな」と理解するようになったんだそう。

打たれた後に「うん、うん」とうなずいてるので、そこに投げていい球だったのだとわかるそうです。
打たれてもいいという意図のあるリードなので、納得しているんですね。
これがシーズン中、投げちゃいけないところに投げて打たれた時は「アカン!何やってんねん!」とばかりに、ガクッとヒザを着いて下に顔を向けている姿になります。

ベンチに帰った時に「ケン、あの球はシーズン中は使わんから」と言う谷繁捕手に、川上も「そうですよね」と返していたとか。

ドラゴンズに限らず、主力投手がオープン戦で新戦力と当たる場合は、どのチームもこういったお試し配球になるだろうと。緩急やインコース攻めはシーズンまでとっておくということです。

こういう駆け引きを見るのも、ツウの楽しみ方のひとつですね。
(岡戸孝宏)
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2018年03月02日18時31分~抜粋

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