2017年8月29日(火)

いま熱い生き物はハマダラカ、ヒアリ、そして…

石塚元章 ニュースマン!! / カルチャー

8/26の『石塚元章 ニュースマン!!』では、蚊から謎の合成生物まで、元COP10アドバイザー、東北大学教授の香坂玲先生にお話を伺いました。

香坂先生が選ぶ「一番熱い生き物」をベスト3形式でどうぞ。

人を一番殺している生物は蚊

いま熱い生き物ベスト3、第3位はハマダラカです。

たかが蚊と侮るなかれ、実は最もヒトの死因になっている生き物なんです。
蚊自体は、2,500種類ぐらいいるんですが、このハマダラカだけで460種。そのうち100種がマラリアを人に媒介できる蚊です。

蚊は淡水の生き物なので、海より陸の方の生き物です。
香坂先生のように世界を巡るような仕事では、勤務先がマラリアがある地域かを、非常に気を使います。
高原などの寒い地域にはいませんが、マラリアがある地域では、蚊帳を吊ったり、虫よけスプレーをしたり、長袖を着たりと対策も多くなります。

今でも年間約2億人が、感染していると言われるマラリア。
実際に、2度3度と刺されて生死をさまよった、という日本人研究者の方もいます。我々にしてみると、マラリアは身近な脅威なんです。

日本でも、様々な感染症や病気が気候変動によって出てくる可能性はゼロではないでしょう。

死ぬ人を少しでも減らそう

マラリア対策のために、発展途上国で蚊帳を配ろうと活動していることで有名な人に、コロンビア大学のジェフリー・サックスさんがいます。ビル・ゲイツらにお金をもらって、各国で蚊帳の利用を広めることで、命を落とす人を少しでも減らそうという活動をされています。

人が死ぬ原因で一番多いのが蚊とは驚きです。ちなみに2番目は、なんとヒトが人を殺すパターン。内戦や犯罪は絶えません。
「これは教訓だよね。1位が蚊で、2位がヒト」としみじみ言う石塚元章です。

ヒアリの上陸を許すな

いま熱い生き物ベスト3、第2位はヒアリです。
7月には、名古屋港に陸揚げされたコンテナに侵入していたヒアリが、春日井市で確認されニュースとなりました。

現時点でアリ塚は見つかっていないので、日本国内での繁殖は、まだ起きていない段階です。しかし要注意。今後もしっかりモニタリングしていくことが大事です。

常にヒアリに警戒すべし

実はこのヒアリ、すでに台湾は広まってしまいました。発見されたのが、かなり広まった後だったというのが災いでした。
日本の場合は報道の力もあり、幸いにして水際で阻止できています。

今は、ヒアリに対して目新しさもあり、割とアンテナを張っている時期なんですが、時間が経って忘れてしまうと危険です。

実はアリ塚がもうできている、そういう状態になると、台湾のように排除するのが難しくなります。ついにはアメリカのように、いくらお金をかけても、追い出せなくなるというリスクがあります。

もしもヒアリに噛まれたら?

一時ヒアリに噛まれると死ぬ、と大袈裟な噂が流れました。実は噛まれても、直ちに病院に行く必要性はそんなに高くありません。むしろ問題はヒアリの毒より、ヒアリに対するアレルギー反応です。

噛まれたとしても、少し日陰なり、建物の中なりで休んで下さい。まずは冷やして幹部を圧迫してください(もしアドレナリンの自己注射キットがあれば注射してください)。

アレルギー症状が出ているかどうか見極めるのがポイントです。出始めたようなら病院の診察を受けてください。また、亡くなった方もいるのが現実なので、自分で判断ができない様なら病院で診察を受けましょう。

もう一つ大事なのは、噛んだであろう虫を、保管するか潰すかして取っておいて、アレルギー症状が出た時に持参して医者に見てもらってください。

合成生物学って何?

いま熱い生き物ベスト3、第1位は合成生物。
シンセティック・バイオロジー(Synthetic biology)、正しくは「合成生物学」といいます。

生き物はDNAでできてるんですが、それを読み解く作業を、ずっと科学はやっています。ヒトのDNAを読む作業は終わっています。

DNAなどの生体高分子をパーツとして組み合わせ、新しい生き物の可能性を探る研究領域が合成生物学です。非常に原始的な生き物であれば、すでに生み出されている状況です。

問題は倫理観

生き物を作れるようになった現在ですが、私たちの受けてきた教育では、生き物は作れないとされていました。だから一度生物を絶滅させてしまうと戻せません。そういう倫理観っていうのは大事にしていかなければいけないんです。

合成生物学では生き物の特徴をデザインできます。
ある特徴を切りとったり、別の特徴をつけたりすることが正確にできるようになってきています。

例えば、養殖の魚を太る体質になりやすいようにデザインをする。
これまでもバイオテクノロジーとか、品種改良でできたことですが、それらは長い時間をかけたり、外から持ってきたものを中に入れるという作業だったんです。

それに対して、この合成生物学をはじめとする現在の科学では、自分たちの中のものを作りたいデザインに描き、不要な部分を切ったり足したりと編集できるようになりました。
農業や養殖の分野では前向きに捉える専門家もいます。

科学の進歩に常に付きまとう問題

すごく便利になりそうな予感もすると同時に、当然予期しないことが起きた場合に、どう対処していくかが問題です。
科学の進歩に社会はどう向き合うか?この問いは常に背中合わせだと思います。

今は実験室などに隔離されて研究が進められていますので、直ちに何かが起きるということではありませんが、不安要素はあります。

一般的には、突然変異とか品種改良という自然界で起きることを、合成生物は人間がわざと引き起こすわけです。

結果は同じですが、プロセスも全く一緒なのかどうか?という判断を研究者だけがするのではなく、市民も一緒に考えないといけないと思います。

アメリカとかイギリスみたいな国がどんどんやろうよ、という雰囲気になった時に、日本はどうするのか?そこが大事かと思います。

生命を作る。生物学の世界では凄いことが行われているようです。人類は、ついに禁忌に手を出したのか、はたまた科学の通過点か?SFの世界は現実になろうとしています。
(尾関)

アーカイブス

同じカテゴリー

|
facebook twitter hatebu line