2017年7月26日(水)

河童忌だから話しておきます。沙悟浄は河童ではありません。

多田しげおの気分爽快!! / カルチャー

日本文学を代表する作家、芥川龍之介。
彼が亡くなったのが、90年前の1927年(昭和2年)7月24日。芥川ファンの間では、この日は「河童忌」と呼ばれています。

なぜ河童か?芥川龍之介は生前、好んで河童の絵を描いていたこと、作品に『河童』があることに由ります。
7/24は、朝PONのご意見番、CBC論説室の石塚元章が河童について解説しました。

日本各地にある河童伝説

河童の伝説は日本全国で非常にたくさん存在します。
有名なところで、民俗学者の柳田國男が岩手県遠野地方の伝承を集めた『遠野物語』に出てくる河童。九州の北の方、福岡や大分辺りも河童伝説が多いと言われています。

現代の地名で河童がつくところと言えば東京、浅草の西側、台東区のかっぱ橋道具街。
漢字で書くと「合羽橋」ですが、元は河童と縁がありました。隅田川に河童がいて、水路の工事を手伝ってくれたという伝説があるそうです。

同じく河童橋というと、上高地の河童橋があります。梓川の向こうにそびえる穂高連峰。非常にきれいなところです。
こちらは河童伝説との関連はなく、河童がいそうな雰囲気だね、ということで命名されたそうです。芥川龍之介の小説『河童』の中にも登場しますが、この近くで河童の国へ行っちゃうというストーリーですよね。

全国共通の河童のイメージ

河童を想像してください。
人型で、ちょっと口が尖ってる、頭にお皿があって、背中に甲羅を背負っている」ですよね。性質は「キュウリが大好き。水辺に来た人を引きずり込むなどの、いたずらをする。こんなイメージです。

実はこれ、江戸時代に生まれたもので、しかも「河童」とは関東一円での呼び名です。
それ以前には、河童をイメージさせるような生き物の伝説が各地にあり、「ヒョースベ」「ガジロウ」「ミズチ」「カワタロウ」など、様々な名で呼ばれていました。

また山に住む河童の伝説もあるようです。しかも、地域によっては毛むくじゃらだったり、顔が緑だったり、赤かったり。
河童が川から山に移り住んだものは「山童(やまわろ)」と呼ばれ、西日本から九州に伝わっています。

関東方言が全国的になった?

江戸時代には、浮世絵や黄表紙(当時の、大人向けの読み物)などの出版メディアが、それまでの時代に比べて飛躍的に発達しました。その中で、水辺に棲む妖怪のイメージが固定化されていきました。

各地にあった似たような伝説が、徐々に今の河童に凝縮されて、あの生き物が出来上がっていきました。
なぜ関東方言の「河童」という名前になったかというと、江戸がメディアの中心だったからです。

みんなのイメージ全部まとめたのが河童

水路の工事を手伝ってくれた伝説のように、江戸時代までの人にとって、河童は単なる妖怪・化け物というだけでなく、尊敬の対象のような存在でもあったようです。

河童に対しては、親しみや、畏敬の念。逆に、恐怖の対象でもあったわけで、相反するイメージで見ていたものが、全部、凝縮されて「河童」というものになっていったのも不思議な気がします。

河童について、國學院大學の民俗学の飯倉義之さんはこのように言及しています。

「各地に伝わる水の妖怪のイメージをまとめて考えたくて、江戸時代に生まれた。しかも関東地方の方言だった河童を当てはめて編み出された最大公約数的な概念、イメージが河童である」

沙悟浄は河童じゃない

ところで『西遊記』に出てくる沙悟浄、我々は河童だと思ってますけど、実はそうじゃないんです。

元々の原点を辿ると、孫悟空は猿。猪八戒は豚。
沙悟浄は…河童じゃありません。そもそも、頭にお皿をのせたあの日本の河童は中国にはいないんです。

元々、水を管理する天の役人が、罰を受けて水にまつわる妖怪にさせられた、というのが原作のストーリー。
『西遊記』を日本に持ってきた時、日本人がイメージする水の妖怪は河童。そんなわけで、いつの間にか河童になったようです。
沙悟浄が河童というのは日本独特なんですね。

日本では芥川龍之介以外にも、河童を扱った作家として泉鏡花、火野葦平、現代では飴村行の名が挙げられます。昔も今も、河童は親しみやすい存在なのでしょうか。

現代の河童

現代になると、河童には怖いイメージがなくなり、明るいキャラクターになりました。

清水崑さんやお酒のCMでお馴染みの小島功さんが描いてる河童。または海老煎餅のイメージ、「やめられない、とまらない」。クレジットカードのCMで、河童と狸のキャラクターが出て来て、中井貴一さんと世界を旅行したりします。山瀬まみさんがピンクの河童になって川を流れていくというテレビCMもありました。

怖い河童も健在

柳田國男の出身地、兵庫県福崎町では、怖い河童のキャラクターを池に作って、時間がくると水中から現れる仕掛けにしています。が…怖い。こどもは泣くでしょう。福崎町のホームページに載ってますので興味のある方はどうぞ。

この地方でも、岐阜県多治見市のキャラクター『うながっぱ』は、河童とうなぎをモチーフにしています。こちらは可愛い系。

昔は、恐怖や畏敬の対象だった河童、現代では、非常に親しみを持たれています。
あなたの、周りにはどんな河童がいますか?ここだけの話ですが、グレイ型の宇宙人、あれ、河童が進化したものらしいですよ。
(尾関)

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