2017年7月25日(火)

【エッセイ】正しい携帯電源オフの指示と前説の悪魔。

RadiChubuスペシャル / カルチャー

年に一度、引き受けている司会の仕事。学生時代の部活仲間がやっている吹奏楽団のコンサートの司会が、この原稿を書いている翌日に控えています。

じゃあ、今日はこのへんで。
いや、やります。

会場は市民ホール、お客様も吹奏楽には馴染みのない方々がほとんどのようで、とにかく丁寧に説明をしながら司会をやっています。
同時に夏に開催していると、司会としては外をウロウロして熱中症になったりするくらいなら、市民ホールは涼しいし、いびきさえかかなきゃ、音楽聞いてうたた寝したって構わないから、くらいに思っています。

正しい「携帯電源オフ」のご案内

開演前のアナウンスに、開演後の挨拶。そこで特に丁寧に司会をするのは、携帯電話の電源オフ。そこはね、演奏会ですから、皆さんお願いしますよと。

司会の喋る時間もきっちり決まっていますが、そこは少々時間が伸びても「皆さま、お手元の携帯電話。電源オフになさっていますか?今一度、ご確認ください…よろしいでしょうか?」とご案内します。
カバンから、ポケットから携帯を出してもらって確認してもらう。これ、かなり有効です。オススメします。

前説という伝説

ラジオ、テレビの公開放送でもありますね、「前説」というやつです。拍手は「短く、細かく、元気よく!」なんて言って練習してもらったり、掛け声の諸注意なんてのもありますね。

で、携帯電話切りましたか、と。スタッフがやる場合もあれば、若手の芸人さんがやる場合もあります。
かの小堺一機さんや関根勤さんも、歌番組の公開放送で前説をやっていたそうです。放送に出ないけど、お客さんと触れ合い、番組が始まれば、司会者の一挙手一投足を見ることができるわけです。

スタッフがやる場合、先輩ディレクターの見よう見まねですね。
テレビ界に名を残すディレクターなどは、後に「センセー」と呼ばれる同年代の放送作家に、テレビ局の喫茶店のコーヒー1杯をギャラ代わりに、前説の台本を書いてもらったとか。
しかもその「センセー」の書いた台本を、何十年も使っていたという話も。例え「ベタ」と言われようとも、テッパンのギャグでお客さんを盛り立てて行くことになるわけです。

「いいですかぁ、拍手をする時は、私が手を上げてグルグル回したら拍手をしてくださいね。はい、拍手ぅ!…と言ったら、始めてください」

「スタジオにはテレビカメラが何台もあります。これが1カメ、これが2カメ…(お客さんを指差して)お客さんはおかめ」

…これも60年を超えるテレビの歴史で何度言われてきたことでしょうか。しかし、おかめはさすがに古いだろう。

「平針の人を探せ」(例)

お客さんに手を挙げてもらう、コール&レスポンス形式の前説なんてのもありますよね。

全国からファンが集まる、あるアーティストの公開録音番組の前説を私がやった時(しかし、この人ぁよく前説をやるな)は「どこから来たか、どこにお住まいか」を挙手してもらいました。

ここでやるのは「だんだんエリアを細かくして笑いをとる」パターン。
「東海3県!愛知!岐阜!三重の方!」に続いて「じゃあ、愛知県名古屋市!」「では、名古屋市天白区平針の方!」。いるかどうかわからないけど、やってみるのです。過去に「神戸市西区伊川谷町」「福岡市中央区平尾」でやってみました。いませんでした。

わかっちゃいるけど…。

こういう「お客さんいじり」をやって、とにかくお客さんを温めます。

で、こう書いてますけど、私はあくまで裏方なのです。明日の司会も裏方だからやってるようなもの。ステージの真ん中で演奏したり、歌ったりする人が主役です。結婚式の司会をやっても『司会がよかった』なんて言われちゃダメなわけです。これからも肝に銘じて、喋る台本係もやらにゃいかんぞと…。

…でも、目先の冗談で、ウケを狙いにいっちゃうんですよ。これだから放送作家は、と。


河野虎太郎
放送作家。真夏日の昼間、地下鉄に乗ったら、体を折り曲げ「乙」の字みたいな姿勢で寝ている人がいた。冷房が利いてて気持ちいいだろうなぁと思ったが、腰が痛くならないか心配になった。

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