2017年7月21日(金)

トビウオが空を飛ぶ理由。それは誰にもわからない。

多田しげおの気分爽快!! / カルチャー

最近の話題から気になるものをピックアップし、専門家から詳しい話を聞く「情報サプリメント」のコーナー。
7/19は「トビウオ」を取り上げました。

種類や漁獲された地域によって微妙に変わりますが、6月~8月の初夏から夏にかけての今まさに、旬を迎えている魚です。
その身を食しても美味ですが、最近は出汁(だし)の材料「あごだし」として、人気を博しています。

さて、そのトビウオ、そもそもなぜ空を飛ぶのでしょう?

あごだしと言ってもA猪木ではない

三重大学大学院 生物資源学研究科 水産実験所の教授 木村清志先生に電話でお話を伺っていきます。

トビウオの別名「あご」。あごだしブームの影響で全国で知れ渡る方言となりました。
語源については諸説ありますが、「あごが外れるほどおいしいから」というのが有力です。
この別名は、福岡・長崎・鳥取・島根など、九州や山陰地方の西日本の日本海側で呼ばれていることから、トビウオは日本近海の南の方に生息していると思われがちです。

が、実はそうではなく、通常我々の目に留まる、魚屋さんで売られているようなトビウオは、北海道辺りまで分布しているそうです。
日本全国の近海にはトビウオがいるものだと思ってよいということです。ただし、春先から夏にかけて日本近海に北上してくるので、夏場が中心ではありますが。

トビウオはG馬場の足のサイズ

さて、トビウオは成長するとどのくらいの大きさになるのでしょう?

木村先生「大体、35cmくらいでしょうかね」

一説によると、ジャイアント馬場の足のサイズが大体34センチくらいだったそうなので、そのくらいまで大きくなるんですね。

ちなみに、馬場の靴のサイズはアメリカのサイズ規格の16号に相当。これが単位を間違えられて伝わり必殺技が「16文キック」と呼ばれるようになりました。実際の16文は約38.4cmになるので、ちょっとサバ読みした感じになってしまっているのです。

…サバじゃなく、トビウオの話に戻ります。

―飛んでいる時、羽根が生えているように見えますが、あれは何ですか?―

木村先生「胸ビレですね。よく飛ぶトビウオですと、体の6割くらいの長さなんです。30cmのトビウオなら、胸ビレは20cm弱の長さになります」

―その胸ビレを使った飛び方ですが、バタバタ羽ばたいているのか、滑空しているのか、どちらですか?―

木村先生「滑空です。多くの種類のトビウオは腹ビレも大きくなっていて、合わせて4枚羽根で飛んでいます」

―滑空するには、勢いつけて助走しなきゃいけませんよね。どうやって飛び始めるんですか?―

木村先生「まず水面近くを高速で泳ぎます。トビウオの尾ビレというのは、下側が長いんですね。それで、体を海面上に浮かび上がらせながら、尾ビレの下側だけを強く左右に振って、ポーン!と飛びきるんですね」

その後は胸ビレ・腹ビレを広げて、グライダーのごとく滑空するわけです。天が与えた素晴らしい技術です。

トビウオは超特大場外ホームラン

―どのくらいの距離を飛ぶのでしょう?―

木村先生「正確に測った記録はないんですが、大きなトビウオですと大体、数100mは滑空していると言われます」

ナゴヤドームの両翼が100mなので、超ホームラン級の飛距離です。
そんな距離をなぜ飛ぶのか?話はいよいよ核心に迫ります。ところが…。

木村先生「それがですねえ。本当のところはよくわからないんです」

マグロやシイラなどの外敵から逃げるために、水中から飛び上がる。一番有力な説はこれです。
しかし、そんなに効果はないのでは?という話もあるといいます。常に数100mも飛べるわけではないため、近場にポチャッと落ちてしまえば、その衝撃波で敵に気付かれるわけですから。

何かに驚いた時に、反射的に逃げる。船などが近づくと飛び出したりするため、これも有力な説です。

しかし、それらの説に疑問符をつけざるを得ない事実があります。それは、別に何が起こっていなくても飛んでいること。
なので、「ただ単純に遊びで飛んでいるだけ」という説もあるそうです。

オス・メス関係なく飛ぶので、求愛行動というわけでもないとか。

飛ばない魚はただの魚だ

飛ぶ理由がハッキリしないトビウオ。そのくせ、飛びやすく身軽にするために、トビウオには胃がありません。
食べたプランクトンはすぐ腸で消化し、すぐに排泄しているのです。腹いっぱい食べる楽しみを放棄しているのです。
もし飛ぶ理由が遊ぶためだったら、こんな“ストイックな遊び人”はいませんよ。

果たして、トビウオはなぜ飛ぶのか。
泳ぐのに飽きたのか。
自分の限界にチャレンジしたいのか。
キキのように、大空を飛び回れるようになりたいのか。
ポニョのように、海から出て人間になりたいのか。
ムスカのように「見ろ!魚がゴミのようだ」と海を上から目線で見たいのか。
それは、トビウオにしかわかりません。

パーソナリティーの多田しげおは「トビウオって本当に不思議な魚ですねえ」と深いため息をつきます。

某お笑い芸人のジブリ風キャラクターっぽく言えばこうですね。
「うふふふ、あははは、あははは!トビウオって、ふしぎ~♪」
(岡戸孝宏)

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