2017年5月23日(火)

【エッセイ】ラジオ化するテレビ -その2- 源流はあの番組?

RadiChubuスペシャル / カルチャー

前回から「ラジオ化するテレビ」の話を書いていますが、その条件の一つに「ラジオ出身、またはラジオで名を馳せた人が中心にいる番組」ということを挙げました。

今を去ること28年前、1989年。雑誌『ラジオパラダイス』(三才ブックス)に「テレビ番組をやっても、コボリさんは放送中に打ち合わせをしている」という、読者からのチクリ投稿がありました。

そうです、夜のラジオ番組『わ!WIDE』が終了し、テレビ『CBCニュース通り 小堀勝啓の時代塾』に出演し始めた小堀勝啓さんについてです。
それに対して編集部のコメントも「ラジオと同じだ(笑)」と。投稿した人は、東海3県の読者だったのでしょう。

実際ラジオを離れる時に、この雑誌の取材を受けた小堀さんは「ラジオのままの小堀で(テレビ番組を)やってほしいと言われた」と話しています。そこから番組名を『ミックスパイください』と変え、今や全国で放送されている夕方の情報ワイド番組のはしりとなり、番組は1999年まで続きました。
その人気ぶりは、この地方の皆さんならご存知なことでしょうし、当時、私が住む東京には『ミックスパイ』のような番組はなく、友人の友人を通じてビデオを取り寄せたほどでした。

狭いスタジオが生み出す「熱気」

改めて、どんな番組が「ラジオっぽいテレビ」なのかをおさらいしましょう。

字数稼ぎのコピペとか言ってる人は、別室でお話しましょう。

1.トークを主体にした番組

2.低予算を売りにした番組

3.ひとつのテーマ(話題)を長い時間かけてやる番組

4.ラジオ出身、またはラジオで名を馳せた人が中心にいる番組

5.ラジオブース(スタジオ)風のセットを組んだ番組

6.視聴者からのハガキ(メール)を読む番組

『ミックスパイ…』の前提として大きいのは「4」ですが、ここは条件「5」の「ラジオブース(スタジオ)風のセットを組んだ番組」であることに注目します。

今は「CBCスタジオギャラリー」となった、CBC本館1階、広小路通りに面したかつての「フロントスタジオ」。

『ミックスパイ…』は番組の歴史のほとんどを、そこから放送してましたが、あれはラジオのサテライトスタジオの発想であり雰囲気ですよね。しかも狭い、ありゃ狭いよ。
いや、すみません。しかも向かい側には、当時の『CBCニュースワイド』のセットまで組まれていて。でも狭いからこその熱気みたいなものがあったようにも見えました。

狭いスタジオ=ライブハウス。

スタジオの狭さを逆手にとって演出されている番組、今も東京にあります。というか、東海3県でもネットしてます。どこの局のどの番組かは差し控えますが、その番組をやっているスタジオの前を通ると、驚くほど狭い。PON!と膝を打つほどです。

テレビにとってスタジオの狭さは、カメラを何台も置けないとか、照明をいっぱい吊るせないとか、機材を十分に使えないということを意味します。でもそれを、観客の熱や、あるいは司会者やゲストのおしゃべりで、番組を盛り立て、補うということなのかもしれません。そういう意味ではライブハウスに近いのかなとも思います。

ただ、テレビはセットの建て方や照明、そしてカメラの位置や撮り方で、狭いスタジオも本当に広く見せることができます。これは技術・美術スタッフの方々の技です。
もっと言えば、広いスタジオとされるところでも、テレビの公開放送の観覧などにお越しの方、あるいは初めてスタジオで喋る方(特にタレント以外の方)も「こんな狭いところで放送してるんですか!」と驚かれることが、しばしあります。

狭いって言うな!

テレビでそうですから、言うまでもなく、ラジオのスタジオ、狭いです。というか、公開放送やラジオドラマをやる以外、そんなに広いスタジオは要りません。これをテレビ的に「狭さ」として使うことで、ラジオ的な雰囲気を作り上げることができるのでしょう。

そんなわけで「ラジオ的なテレビ」の話、そして『ミックスパイください』というテレビ番組。これはラジオで培った小堀さんのお喋りと「狭いスタジオ」が、よりラジオっぽさを熟成させたといえるのかもしれません。え?狭い狭いって言うな?だってさぁ。

でも、この番組が、今のテレビ情報番組の趨勢であり、夕方のTV情報ワイド番組のはしりであることを考えると、その源流は間違いなく様々なラジオ番組にあったと(個人の感想です)広く訴えたい(意見には個人差があります)。よってこの「ラジオ化するテレビ」の話、もうちょっと続けたいと思っている43歳です(年齢は当時のものです)。


河野虎太郎
放送作家。時々、放送史の研究。時々、牛すじ煮込みづくり。時々、終電で寝過ごしてタクシー料金で散財。頻繁なのは立ち食いそば店の利用。

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