2017年5月8日(月)

新幹線の車窓は楽しい高速アトラクション

北野誠のズバリサタデー / カルチャー

話題の本の著者や、話題の人にインタビューするコーナー「ズバリ この人に聞きたい」。
今日のテーマは「東海道新幹線の車窓の楽しみ方」です。
ゲストは『東海道新幹線の車窓は、こんなに面白い!』の著者で、フォトライターの栗原景(くりはら・かげり)さんです。

日本の大動脈・東京-新大阪間を、最短2時間22分で結ぶ東海道新幹線は、一方では「味気がない」と言う人も多いそうですが、著書ではその新幹線の車窓から見えるユニークな82ヶ所をセレクト。現地へ足を運んだり、関係者から話を聞いたりして、そういう風景ができた理由を写真と共に紹介しています。

今週は栗原さんが8年、100往復して見つけた、東海道新幹線の車窓の楽しみ方について電話で伺います。

最大の見所は富士山。ヤマ場だけに。

「東海道新幹線はやはり日本の大動脈なので、自然の風景からいろんな大企業まで、バラエティ豊かな景色が見えるのが大きな魅力なんです」と語る栗原さん。

現に山陽新幹線はトンネルが多いし、次世代のリニアモーターカーも9割以上がトンネルになるということで、東海道新幹線の車窓のスキルは相当高いのだそうです。
その中でも代表的な景色が、富士山。名古屋から東京方面だと、豊橋から品川までその姿が見えるといいます。
中でも、名古屋からのぞみで50分くらいの、新富士駅あたりが一番綺麗に見えるそうです。

更にマニアックなおすすめポイントを栗原さんが教えてくれました。
新幹線の海側の、3列席シート(A席)の方から、富士山が見えるポイントがあるというのです。海側ですよ。普通ならありえませんよね。

名古屋から出て42分(誤差はプラスマイナス1分)のポイント。静岡駅のちょっと手前、安倍川を渡るちょっと手前の所で、大体40秒だけ富士山が海側にスルスルスルッと見えるそうです。
これは、歌川広重の浮世絵『東海道五十三次』にも“左富士”として登場している現象。東京から下り方面だと左側(海側)に富士山が現れるので。

ただ、このポイントは富士山から約50kmも離れているため、気象状況が良くないと難しいとか。特にこれからの夏場だと霞んでしまいがちなので、「見えたらラッキー」と思うくらいがいいそうです。

謎の看板727

新幹線の車窓から見える風景で欠かせないのが、田んぼの真ん中などにある野立て看板。
特に、白地に赤い字で「727」と書かれた看板は、よく見かけますよね。あれは一体何を意味しているのでしょう?

実はあれ、『セブンツーセブン化粧品』という大阪のコスメティック会社なのです。
小売りはせず、美容室などに卸しているメーカーなので、一般消費者は普段商品を見る機会はありません。
頭の片隅になんとな~くあのロゴを覚えてもらい、美容室に行った時そのロゴを見つけて「あっ、これ知ってるー!」と思ってもらうのが目的なのだそう。

心理学的には「単純接触効果」というヤツですね。何度も目にしていたものを別の場所で見かけると、親近感がわくという。
会社の公式情報によると、5~7分の間隔で、看板が見えるように配置しているそうです。

ちなみに社名の由来は、創業者の誕生日が7月27日だからだそうですよ。

コスパが安いコスメの広告

「広告料は高いのでは?」
そんな疑問が浮かびますが、栗原さんが言うには、
「大体3年契約で、場所によって違うけど、年間何10万かというレベル」だとか。

栗原さん調べでは、727の看板は32基あるそう。それを考えると結構高いと思われますが、テレビやラジオと比べればリーズナブルではないかと考える栗原さん。新幹線は1日45万人が利用するので、広告効果は高いようです。

ナンパ目的で「恋人募集 携帯電話番号~」と書いた看板を設置したら、イタズラ電話ばかりだった、という人もいたようなので、見てる人は多いんでしょう。

観覧車を観覧しよう

北野誠が名古屋に来る時、いつも不思議に思うのが「愛知県には観覧車が多い」という事。
実際、設置数は日本で一番多いそうで、新幹線からは3ヶ所見えると栗原さんは言います。
豊橋・のんほいパーク、蒲郡・ラグーナテンボス、安城・堀内公園。

栗原さんの想像によると、愛知県民は車に乗って家族で出掛けるのが好きなのではないかと。遊園地で一家団らんという文化が根付いているのではという見立てをしていました。

昨年大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』の聖地・豊川市の風車も見えるし、江戸時代からの左富士も見える。そんな時代を越えて楽しめる車窓は、東海道新幹線の隠れたアトラクションと言えるでしょう。
(岡戸孝宏)

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