2017年5月1日(月)

身体も心もサポートする「介助犬」をもっと知ろう!

石塚元章 ニュースマン!! / カルチャー

知恵と勇気で今世紀を生き抜く賢者たちに話を聞く「21世紀の賢者たち」。
4/29は日本で唯一の介助犬訓練センター「シンシアの丘」から、社会福祉法人日本介助犬協会介助犬総合訓練センター訓練部の柴原永佳さんにお話を伺いました。介助犬のキャロルも一緒です。

介助犬は手足となる犬

盲導犬は、目が見えない方が歩く時に安全に誘導する犬というのはよく知られています。
一方、介助犬は手や足に障害のある方の日常生活のお手伝いをする犬のことを言います。

盲導犬が日本全国で1000頭ぐらいいるのに対して、介助犬は、まだ日本全国で70頭しかいません。
また、盲導犬と一緒に介助犬も育てているという施設はありますが、介助犬専門の訓練施設は長久手の「シンシアの丘」しかありません。
介助犬の歴史は浅く、20年ぐらいの歴史しかありません。現在は徐々に育成のシステムが出来上がりつつあるという状況です。

子犬が産まれてから介助犬になるまで

介助犬になる子犬たちは、繁殖犬と呼ばれるお母さん犬から生まれます。
生後2ヶ月頃から1歳までは、パピーホームと呼ばれる一般のボランティアの家で生活をしていきます。ボランティアの人たちに可愛がられて、人が大好きな犬になるように育ててもらいます。

1歳になってからは長久手市にある介助犬総合訓練センターに入所します。
しかし入所してすぐに介助犬の訓練に入るわけではなく、本当に介助犬に向いている性質かを評価していきます。人にも性格があるように、犬たちも一頭一頭個性があるんです。

どういう犬が介助犬に向いている?

一番は環境適応能力があることです。
実は柴原さんと一緒に来たキャロルは足元で寝てしまってます。このように、いつもと違う環境に来ても、すぐに落ち着けるような犬がとても向いているとのこと。
介助犬になると、人と一緒にいろんなところに出向くことになるため、人混みや祭り会場のように大きな音が鳴るような環境に適応することが重要です。

例えばセンターに10頭入ってきたら、そのうち2頭か3頭が向いている程度。確率としては低いですが、性格の問題なのでどうしようもありません。
介助犬に向いていないと判断された犬たちは「キャリアチェンジ犬」と呼ばれ、一般の家庭にペットとして貰われていくそうです。

介助犬は1頭1頭がオーダーメイド

介助犬の素養があると認められると「お座り」「伏せ」という基本訓練の他に、介助犬として必要なトレーニングが行われます。
例えば落としたものを拾う、指示したものを持ってくる、ドアの開け閉め、靴と靴下を脱がせたり、といった動作です。

このトレーニングは遊びの延長として、犬たちが楽しく仕事ができるように行われるそうです。
物を引っ張る動作はロープの引っ張り合いから始め、それが最終的にドアを開ける動作に繋がっていくわけです。

介助犬のトレーニングは、一緒と暮らす肢体不自由者の方の障害の種類や程度、その方が介助犬に求めるニーズに合わせて、オーダーメイドで行われます。
人と犬とのマッチングも重要ですし、訓練はご本人と訓練士、さらにリハビリテーションの専門職の3者が連携しながら進めていく、とても細やかなプロセスとなります。

心もサポートする介助犬

介助作業は身体的な不安を減らしてくれます。
これまでずっと家族に頼んでいたことが、犬を介すことにより「自分でできる」という自尊心が向上し、気持ちも前向きになる効果があります。
身体的に負担なんじゃないかと思うような方が、逆に介助犬の世話をすることもあるそうです。
「大切なこの子のためにやってあげたい」という気持ちが、その人自身の身体機能を向上させたと考えられます。

また介助犬と暮らす前までは、硬貨を落としても人に声をかけられずにあきらめていたという方がいます。ところが犬がいると額なんて全然気にしません。喜んで尻尾を振りながら拾ってくれるため、気兼ねなく外出できるようになったそうです。

柴原さんは「介助犬は、身体的なことももちろんですが、心の面もサポートしてくれるのかなと感じます」と語ります。

5月20日土曜日には、愛知県長久手市の愛・地球博記念公園で「介助犬フェスタ2017」が開催されます。
介助犬に興味を持った、もっと介助犬が知りたい、という方はぜひご参加ください。愛犬と一緒でも参加できるそうです。
詳しくは「介助犬フェスタ」で検索してみてください。

ちなみに柴原さんと一緒に来たキャロルは、最後までずっと寝ていたようです。素晴らしい環境適応能力ですね。
(尾関)

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