2017年4月24日(月)

ピアニスト後藤浩二が案内する「ヴィレッジ・ヴァンガードで生まれた名盤」Part2

後藤浩二 ジャズ魂 / カルチャー

あなたの心を開放する、ゆったりと流れる大人の時間『後藤浩二 ジャズ魂』
毎週日曜の夜10時半、ジャズピアニスト・後藤浩二のコレクションから名盤はもちろんのこと、隠れた素晴らしい演奏をご紹介。

今回は「ヴィレッジ・ヴァンガードで生まれた名盤 Part2」と題してお送りします。

ジャズの巨人 デクスター・ゴードン

ジャズミュージシャンが憧れる NYマンハッタンにある有名ジャズクラブ、Village Vanguardからたくさんの名演奏が生まれています。

まずご紹介するのは、サクソフォーン奏者で俳優でもあるデクスター・ゴードン(Dexter Gordon)。
「ジャズの巨人」と呼ばれるデクスターは、1923年アメリカはカリフォルニア州ロサンゼルスの、医師の家庭に生まれました。

サックスプレイの歴史で、テナー奏者として最初にビバップの奏法をマスターし、ジョン・コルトレーンらに大きな影響を残しました。

13歳でクラリネットを始め、15歳の時にはサックスを始めます。10代でライオネル・ハンプトン楽団に所属。その後もルイ・アームストロング、ビリー・エクスタインなど超一流のバンドに在籍し、テナーサックス奏者として活躍しました。

しかし、デクスターも当時の天才プレイヤーの例に漏れず、麻薬に溺れてしまいました。
ジャズの黄金期、ジャズが変わっていく1950年代に、ドラッグにより2度の投獄。そして1960年にロサンゼルスで奇跡のカムバックを果たします。
後にヨーロッパツアーをきっかけに、ヨーロッパへ移住して復活。
1976年までの間、主にコペンハーゲンを活動の拠点として欧米を行き来する生活が続きます。

どこかで聞いた話ですね。

ジャズ奏者がヨーロッパへ移る理由

以前この番組でチェット・ベイカーを紹介した
んですが、彼と同じくこれからという時にドラッグで第一線から離脱せざるを得なくなり、ヨーロッパに移住して活動再開。

それに当時は多くのミュージシャンがアメリカからヨーロッパへ移住しています。
バド・パウエル(p)、ケニー・クラーク(dr)、アート・テイラー(dr)、ベン・ウェブスター(sax)、ケニー・ドリュー(p)、そしてチェット・ベーカー…と枚挙にいとまがありません。

ヨーロッパのファンはジャズ・ミュージシャンを芸術家として尊敬し、人種差別もなく、手厚い待遇だったとのこと。
当時のアメリカでは、ジャズをやっている人たち=時代遅れのことをやっている変わった人たち(デクスター談)、としか思われていなかったようです。

ジャズ・ミュージシャンはレパートリーを決める際、キーが被らないように選曲する事が多いです。なぜならキーが変わった方が気持ち良く演奏できるからです。
一方でデクスターのアルバムは同じキーの曲が多いのです。その多くはFかB♭のいずれか。それはテナー・サックスがB♭キーの楽器だからだと考えられます。

天才テクニシャン ベニー・グリーン

次にご紹介するのは、ピアニストのベニー・グリーン(Benny Green)。
オスカー・ピーターソンが自ら「後継者」として指名するほどのテクニシャンです。

1963年にニューヨークに生まれ、カリフォルニア州のバークレーで育ちました。7歳からクラシック・ピアノを学びます。スタートはちょっと遅いですが、1983年、20歳の時にベティ・カーターのグループに加入。1987からは”Art Blakey and the Jazz Messengers”に参加、その後フレディ・ハバードと組んだり、”Ray Brown’s trio”で演奏。

天才というより努力家で「練習の鬼」と言われているそうです。
若い頃、バド・パウエル、ソニー・クラーク、セロニアス・モンク、ホレス・シルバー、オスカー・ピーターソン、ウイントン・ケリーなどの演奏を聴き込み、いわゆる「耳コピ」で勉強したといいます。

彼の特徴のひとつに「両手ユニゾンソロ」があります。つまり両手に同じ動きをさせて、単音を2オクターブ差で弾くことです。

「ジャズは私の人生そのもの」と語るベニー。スウィンギーでグルーヴィーなピアノ・タッチで知られています。

現代最高峰 クリス・ポッター

最後にご紹介するのが、サックス、バスクラリネット、フルート奏者で作曲家でもあるクリス・ポッター(Chris Potter)。
2007年に亡くなったジャズ・サックスの王者マイケル・ブレッカーの後継者となり、そのテクニックは「現代最高峰のサックスプレイヤー」とも言われます。

クリスは1971年アメリカ・イリノイ州はシカゴ生まれ。5歳ごろピアノとギターを始め、11歳の時「テイク・ファイヴ」でおなじみのポール・デスモンドに憧れアルト・サックスを始めます。12歳頃から地元のクラブで演奏し、18歳でニューヨークYへ移り ケニー・ワーナーやレッド・ロドニーに師事。
2012年にはパット・メセニーの新グループ、ユニティ・グループのサックス奏者に抜擢されます。

番組ではいわゆる「レ・ラ抜き」の沖縄音階を基調とした「Okinawa」という曲を紹介いたしました。
ぜひradikoタイムフリーでお楽しみください。


M1 デクスター・ゴードン『Dexter Gordon Home Coming Live At The Village Vanguard』から「It’s You Or No One」
M2 ベニー・グリーン『Testifyin』から「Bu’s March」
M3 クリス・ポッター『Lift』から「Okinawa」
M4 後藤浩二『Azul』から「Princess Anne」

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