2017年10月5日(木)

「中秋の名月」に団子をお供えする理由

丹野みどりの よりどりっ! / カルチャー

『丹野みどりの よりどりっ!』宛てに、こんなおたよりが届きました。

「外に出ると涼しい風が心地よいので、最近、夜は散歩に出掛けています。
空を見上げるとお月様がきれいです。そういえばそろそろお月見の季節ですね。中秋の名月の日には団子をお供えするのが日本の伝統のような気がしますが、そもそもなんでお団子を供えるのでしょうか?教えてください。」

ということで、10/3のキニナルは「中秋の名月に団子をお供えする理由」について詳しく教えていただくため、國學院大學文学部教授の新谷尚紀さんにお話を伺いました。
新谷さんは普段民俗学、つまり民俗伝承学の研究をしていて、昔からのしきたりやならわしの意味と変遷について、研究しています。

中秋の名月と十五夜の違い

そもそもですが「中秋の名月」と「十五夜」という言葉をよく聞きますが、この2つの言葉はどう違うのでしょうか?新谷先生に伺いました。

まず「十五夜」とは、旧暦で各月の15日の夜のことをいいます。また、新月という月の出ない日から満月の日までおよそ15日かかります。
旧暦はひと月が月の満ち欠けを基準にしてできているため、毎月15日の夜、すなわち十五夜はおおよそ満月というわけです。

一方で「中秋の名月」とは、旧暦の8月15日の夜のことをいいます。
旧暦の8月の時期は、月が澄んでいて、満月がきれいだったといいます。

中秋の名月の日に団子を供える理由

それでは本題です。中秋の名月の日に団子をお供えする理由は何でしょうか?

新谷先生によると中秋の名月は、秋の収穫への感謝の行事で、お月様へ団子をお供えするのはお米の収穫への感謝の気持ちを表すためだそうです。
昔の人は新月から満月へと月が満ちていく様子を作物の成長過程と重ね、豊作を祈願していたと考えられています。
つまり、満月は豊作の象徴であり、中秋の名月の日には団子をお供えしていたのです。同様に、ススキを供えるのは秋の季節感をよく表すものだからといわれています。

では昔からずっと「団子」をお供えしていたのでしょうか?

新谷先生に伺うと、中秋の名月はもともと秋の収穫の感謝の行事なので、お米の収穫に限った話ではなかったといいます。
昔は、稲作が定着するのとは別に、秋の収穫物である芋や豆、栗などをお供えして、収穫への感謝の気持ちを表していたと思われます。

また収穫の感謝の行事は、旧暦の8月15日、すなわち中秋の名月の日に限った話ではありません。
例えば、旧暦の9月13日のことを「豆名月」(まめめいげつ)と言ったり、「栗名月」(くりめいげつ)と言ったりするような伝承があります。

お月見の起源

ここまで、中秋の名月のお話をしてきましたが、それではお月見自体はいつから行われていたのでしょうか?

これについては、確かな記録が無いので分からないということですが、平安時代の記録に、和泉式部や西行の歌があります。

「見るや君 さ夜うちふけて 山のはに くまなく澄める 秋の夜の月」(和泉式部)
「数へねど 今宵の月の けしきにて 秋のなかばを 空に知るかな」(西行)

この歌を聞いた丹野は「平安時代の人が見ていた月を現代の私たちが見ているなんて、宇宙のロマンを感じますね」と感慨深い様子。
秋の涼しい季節、みなさんも夜空を見上げてみてはいかがでしょうか?
(ふで)

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