2017年10月3日(火)

大谷ノブ彦が再び映画をアツくおススメ&業界に一石を投じる!

大谷ノブ彦のキスころ / カルチャー

ダイノジ・大谷ノブ彦が音楽・映画・中日ドラゴンズなど、好きなものをアツく語る番組『大谷ノブ彦のキスころ』。
前回の放送では、この秋公開された映画『ダンケルク』『新感染』について熱く厚く語り倒しました。

そのリアクションとして、今回10/1の放送では、59歳のリスナー・Aさんから逆に大谷へのオススメ映画を紹介するおたよりが届きました。

その作品は、『遠雷』(1981年)と『KAMIKAZE TAXI』(1995年)です。

実は大谷も…

そのAさんのおたよりです。

「私がおススメしたい映画は永島敏行と石田えりが共演の『遠雷』です。トマト農家に生まれた若者の青春群像ですが、人間のドロドロとした醜い部分を見せつけられたのに、ラストでは清々しさを感じて、何か生きる活力が湧いてくるような感動を覚えました」

「そしてもう1本が、役所広司主演の『KAMIKAZE TAXI』です。役所広司扮する日系ペルー人のタクシードライバーが、高橋和也扮するチンピラヤクザとひょんなことから出会い、バイオレンスの渦に巻き込まれていくロードムービーです。
脇を固めるミッキー・カーチスや片岡礼子がいい味を出していて、大好きな作品です」

実はこの2本とも、大谷も大好きな作品なのでした。リスナーにもぜひレンタルで探して観てほしいと強く勧めます。

田舎の幻想を押し付けられている

まずは『遠雷』から語り始めます。

原作は立松和平の同タイトルの小説。監督は根岸吉太郎。後に薬師丸ひろ子主演『探偵物語』を撮ります。

宇都宮を舞台に、都市化の波に流される人々の中で、土地にしがみつきトマト栽培に賭ける青年が、永島敏行。そこへ見合いで嫁に来るのが石田えり。
ここまでだと田舎の熱血さわやか物語っぽいですが、とんでもない。愛憎が交錯するドラマで、ちょっとエッチなシーンもあります。

「よく、『田舎に行くと落ち着く』とか、『田舎は自然がいっぱいあって最高』とか、『田舎の人は優しい』とか言われるでしょ。あれは都会の人間が幻想を押し付けてるだけなんです」と大谷は力説します。

大分県出身の大谷は、実家に帰ると最初は「よく来てくれた」と歓迎されるのですが、すぐに鎮静化してテレビを観ながら黙ってご飯を食べるようになります。
「田舎ならみんなで毎日ワイワイ楽しくしゃべってる」と思うのは、幻想。毎日しゃべってれば話すことも無くなるんですね。

「田舎にだって、差別とか小さなコミュニティの足の引っ張り合いとかハンパなくあるわけ。“田舎=あったかい”っていうもんじゃないし」と、更に大谷はヒートアップ。
しかし、「だからこそ美しいんですよ?間違えないでくださいね。人は人らしいってのが一番美しい、と言いたいんです」とも。

大谷はこの映画を大学時代、行きつけのレンタルビデオ店のお兄さんに「演劇が好きなら観た方がいい」と教えてもらったんだそうです。シナリオが秀逸だそうですよ。

ちなみに大谷いわく「石田えりさんがエロいんだ。隙だらけの田舎の女。罠だよね」ということです。

役所広司のターニングポイント

お次は『KAMIKAZE TAXI』です。

「1995年の作品で、役所広司さんがいろんな映画に呼ばれる“前夜”だと思ってください」と大谷。
翌1996年『Shall we ダンス?』が大ヒットする前ですね。

監督は原田眞人。最近では『関ヶ原』の監督でも知られています。
元々、映画監督になりたいという夢があったという大谷は、90年代のVシネマ黎明期、木村一八が殺し屋を演じる『タフ』というビデオ映画を観て心を奪われました。それ以来原田監督作品をチェックしていたそうです。

組に反旗を翻した若いチンピラ(高橋和也)と、彼と逃亡を共にする日系ペルー人(役所広司)が、バイオレンスの中に身を投じながら、民族間の差別や移民問題の人間ドラマも一気に派生していく。役所広司の不気味な演技も見事。素晴らしい映画だと大谷は絶賛します。
片岡礼子のちょっとエッチなシーンも見逃せません。

日本の映画界に物申す!

当時、クエンティン・タランティーノ監督の影響で、日本にも『GONIN』の石井隆監督など、こういったニューバイオレンスの映画を作る監督が現れてきました。

「90年代の映画監督ってすごくエネルギーに満ち溢れてて、世界に通用するような可能性を感じさせる人がたくさんいたような気がしますね。今は世界レベルで評価される監督が減ってきている」

一方、韓国はバイオレンス映画に磨きがかかってきたとも。

「噂に聞くと、日韓ワールドカップで目覚めたって言いますね。国が文化的なものを補てんしようと。みんなで応援しようと。映画や音楽などのエンターテイメントも、日本の文化をマネしていたのが、アメリカに目を向けて世界に通用するものを作ろうと。それでK-POPも洗練されたって言います」

それに対して日本はというと…。

「ドラマにしろ映画にしろ、まず大きい事務所の一番人気がある役者さんがキャスティングされて。台本よりもそっちが先なんですよ。そうしたら制作費の予算が下りる。そしたら映画が撮れる。若い女の子が観に行くから何となく映画が成立する。
これじゃあ文化のレベルって上がんないよね」

大谷は嘆きます。
しかし、ただ批判しているわけではありません。

「僕はどっちもあっていいと思うんですよ。キャーキャー言われる人も絶対いてほしい。それによって元気なエンターテイメントが生まれるのは間違いないから。だけど、それだけじゃ1億2千万人ほどの人口相手でギリギリ金儲けできちゃうから、『日本だけでいい』という発想になっちゃう」

出でよ!未来のクリエイター

名古屋の男性アイドルグループ・BOYS AND MEN(ボイメン)の会社の人と話すと、「アジアに進出して、世界のボイメンになって、名古屋に人を呼ぶんだ」という信念が感じられて楽しい、と語る大谷。

実家の大分県の市役所に行って、「町おこしのイベントをやりたい」と持ちかけても、予算が出せないと門前払い。
しかし一方、地元の干物業者が作る干物は大谷いわく「関サバや関アジなどのブランド物じゃない、普通の干物なのに尋常じゃなくうまい」らしく、それを中国にバンバン売りまくっているんだとか。

「儲かってしょうがないよ、大谷ちゃーん!もうたまんないよー、工場また倍にするよー!何か面白いこと考えてよ、お金出すから!」と言う業者の人と話してると、楽しくて仕方ないのだそう。

狭い日本で足を引っ張り合いするより、世界にモノを売りましょうと景気のいい話をした方が楽しいということです。

90年代の映画監督にはそういう息吹を感じていた大谷は、クリエイター志望の若者に向けてこう語りかけます。

「ネットフリックスとかアマゾンとか、動画配信サイトができて、そこが映画を作り出してる今は絶好のチャンス。制作費をアメリカがたっぷり出してくれるようになるから、日本の才能のある人たちはそこでどんどん作れる。この10年本当にチャンスだから!」

昔の映画の話から、最後は未来の映画の話になったのでした。

(岡戸孝宏)

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