2017年9月26日(火)

大谷ノブ彦が映画をアツくおススメ!『ダンケルク』と『新感染』

大谷ノブ彦のキスころ / カルチャー

音楽だけでなく映画にも造詣が深いダイノジ・大谷ノブ彦が、9/24『大谷ノブ彦のキスころ』でおススメ映画を2本アツく紹介しました。

その作品とは、クリストファー・ノーラン監督『ダンケルク』と、ヨン・サンホ監督『新感染』です。

大谷は先日、東京・新宿ピカデリーで行なわれた「爆音上映イベント」のトークショーに出演。そこで観た『ダンケルク』の感想から語り始めます。

『ダンケルク』は史実に基づく映画

“爆音上映”とは、音楽ライブ用の音響設備を使い、大音響の中で映画を楽しむ方法です。
最近の映画は、体感することに価値を見出す人が増えています。

大型スクリーンとクリアな映像&サウンドで迫力のある臨場感が味わえる「IMAX(アイマックス)」、映像に合わせて座席が動き、水しぶきや風や香りなどが出てくる「4D」、歓声を上げたり、拍手したり、コスプレしたり、サイリウムを振るなどの「応援上映」「絶叫上映」などなど。

スマホで簡単に映画が観られる今では、レンタルDVDの利用も減ってきています。しかし映画館の中で体感する楽しさを求める人は多い。これは、CDの売り上げは減っていてもライブの需要は高くなっている音楽界と似ていると、大谷は分析します。

そして、「この『ダンケルク』はライブ型映画としてふさわしい。ぜひIMAXで観てほしい」と力説するのです。果たしてその理由は?

『ダンケルク』の概要を説明しながら、その訳にたどりつきましょう。
第二次世界大戦中、フランスの港町ダンケルクに、イギリス・フランス連合軍の兵士40万人が追い詰められました。が、敵のドイツ軍包囲網をかいくぐり、民間船の大活躍もあって奇跡的な救助に成功しました。この史実をもとに作られています。

この映画では、設定が3つに分けて描かれています。陸を舞台にした1週間、海を舞台にした1日間、空を舞台にした1時間。
それぞれ違う登場人物によって話が進んでゆき、カットバック(複数の場所で起きているシーンを交互に表現する方法)で交差しながら、やがて最後は回収されていきます。

そして特徴的なのが、セリフが少ないこと。今までの戦争映画なら、会話劇によって人物の関係性を示すのですが、そういう説明っぽい所がありません。
なので、観客がまるで自分もその現場にいるような気分にさせられるのです。

ロールプレイングゲーム『ドラゴンクエスト』では、あえて主人公にセリフを言わせないことで、プレイヤーが感情移入しやすいように作られているのと似ていますね。

アトラクションを超える作品

さらに、この作品は戦争映画と言っても戦いません。逃げのびる物語です。しかも、敵のドイツ軍からの視点は描かれていないので、いつどこから攻撃されるかわかりません。
実際観客には、銃を持って戦うより、恐怖から逃げた経験をした人の方が多いでしょう。だからますます感情移入して、ハラハラドキドキするんですね。

それで、体感型の映画にピッタリだというわけです。
「映画館の中に放っぽり出されてる感じ。本気でビビりました。これをやられちゃったら、アトラクションとかの比じゃない」と大谷は感服するのでした。

ちなみにノーラン監督は、CGを使わないことで有名です。今作も、ビンテージの戦闘機を買い取って実際に飛ばしているのだとか。2機しかないので、空のパートでは登場人物も2人に絞って撮影したのだそう。
凄まじいこだわりですね。

名前だけならC級映画

さて、お次は韓国映画『新感染』です。電車の中で、ゾンビが暴れまわる映画です。

「これだけ聞くと、絶対駄作でしょ?」と毒づく大谷。ところが、海外での評判がハンパない絶賛の嵐だったので、大谷も観に行ったのでした。

ヨン・サンホ監督は元々アニメーションの監督でした。日本で言えば『君の名は。』の新海誠監督のような。宮崎駿監督や押井守監督など、日本の名だたるアニメ監督からも大きく影響を受けているそうです。今回が初めての実写版制作になります。

そもそも、現在に受け継がれているゾンビ映画の世界観は、1968年公開、ジョージ・A・ロメロ監督『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』がルーツです。
ゾンビに襲われて噛まれた人間は感染してゾンビになり、ゆっくり歩くというスタイルが生まれました。なぜゆっくり動くのか?
例えば、そのゾンビになった人が元恋人だったなら、そこで「どうすればいい?」と葛藤が出てきますよね。そこにドラマが生まれるのです。

そして、1979年公開『ゾンビ』では、大型ショッピングモールにゾンビが集まります。これはアメリカでは当時、個人商店がどんどん潰れて、休日には郊外のショッピングモールに人々が集まる様子を、ロメロ監督が風刺しているのです。

「その国の現状がどうなっているのかを、ゾンビという映画で表す。社会問題と人間関係のドラマを成立させられるホラー映画がゾンビ。これはとんでもない発明なんです」と熱弁をふるう大谷。

内容は超A級

では、『新感染』の概要を説明していきましょう。

“新感染”というのはもちろん邦題。安易なダジャレは邦題にありがちな悪いクセです。原題は「釜山行き」という意味。

主人公の男は妻と別居中。仕事ばかりしているため、幼い娘はなついてくれません。ある日、娘が釜山にいる妻・・・つまり母親に会いたいと言い、男も渋々連れていくことに。

ソウルから釜山までは約400km。日本だと東京~米原くらいです。その間を走る高速鉄道の始発に乗り込むため家を出ます。早朝で暗い中、親子の会話はありません。突然、車の前を何かが通りビクッとさせますが、それはゾンビではなくパトカーや救急車。どうやらビルで火事があったらしい。そうして何か異変を感じさせつつ駅に着きます。

始発に乗り込む乗客の中には、後程活躍する人たちの姿が捉えられます。伏線ですね。妊婦の妻を連れたゴリラみたいな男もいて、最終的に素手でゾンビと戦ったりします。

そしていざ出発というところで、怪しげな女性がよろめきながら乗り込みます。そう、彼女は感染者。
始発なので車中は寝ている人ばかり。主人公の娘は父親と話したくないので、ぬいぐるみを持って窓の外を見ています。
すると、人が人を襲っているところを目撃してしまう娘。でも周りは寝ていて気付かない。
「あれ?何だろう…」というところから、列車は釜山へ向けてノンストップ。徐々に乗客が感染していきます。さあ、何号車が助かるのか?

「これだけ話すと“ゾンビ対人間”だと思うでしょ?違うんです。この監督が凄いのは、『疑心暗鬼になった人間の方がよっぽど怖い』という展開に持っていくんですよ。ゾンビから逃げて自分たちの社会を作ったヤツらが、ゾンビと戦ってるヤツを、感染者と決め付けて見殺しにしようとするんです」と熱心に語る大谷。

「とんでもないことに終着して、号泣します。45歳のお笑い芸人がゾンビ映画で号泣しましたよ」

家族愛を描いた人間ドラマだそうです。「もし北に何かあって人々が押し寄せてきた時、韓国の人は受け入れられるのかという風刺もあるのでは」と勝手に妄想する大谷。

一方、今作のゾンビは動きが速い反則的なヤツらで、それが凄すぎて声を出して笑ってしまう所もあるのだとか。そこはアニメ監督、抜かりはないようです。ぜひご覧になってはいかがでしょうか。
(岡戸孝宏)

アーカイブス

同じカテゴリー

|
facebook twitter hatebu line