2017年9月14日(木)

緑色や黄色のお茶もあるのに、なぜ「茶色」というの?

丹野みどりの よりどりっ! / カルチャー

「色の名前で具体的な物の名前を入れて言う、○○色ってありますよね。桃色や柿色、空色、藤色などなど。そこで、思ったのが茶色です。日本は基本的に緑茶ですよね。それなのになぜ、茶色と言うのでしょうか?教えてください」

日常にある素朴な疑問・気になって仕方がない「アレってなんで?」といったリスナーから送られた『キニナル』を、番組チームが調査し、さらに詳しい方々に教えていただくコーナー「これってキニナル」。

9/12は、茶色と呼ぶ理由がキニナルという方から。
確かに、私たちが一般的にイメージするお茶の色って、黄緑色をしていますよね。そこで、今回は「緑色や黄色のお茶もあるのになぜ茶色というの??」というキニナルを解決していきます。

このキニナルについて、お茶の研究者で民俗学者の中村羊一郎先生に伺いました。聞き手は丹野みどりです。

中村先生は普段の研究は?

中村先生の専門は民俗学。
庶民のお茶を求めて、日本国内はもとより東アジア全域での現地調査を行っていて、特にミャンマーには25回に及ぶ現地調査を実施したことがあるとか。

著書には『番茶と庶民喫茶史』や『ミャンマーいまいちばん知りたい国』があります。
庶民の暮らしの種々相を民俗学と日本史学とを融合させる方法で研究しているそうです。

さあ本題です。

緑色や黄色のお茶があるのに「茶色」と呼ぶのはなぜでしょう?

実は、緑色のお茶は江戸時代に開発された新商品でした。
それ以前のお茶は、摘んだ茶葉を直接釜か鍋で炒ってからムシロの上で揉み、すぐに天日干ししていました。

天日干しされた茶葉は枯葉のように茶色になります。そうした茶葉を煮出して飲んだので、その色は緑色ではなく、まさにブラウンでした。これが茶の色、つまり茶色ということになりました。

茶色の表現は、茶の煮汁で絹などを染めた色からきたもの。
抹茶以外では、緑色のお茶、つまり現在の煎茶を飲むようになったのは、せいぜい300年ほど前からで、それ以前は同じ字を使っていても、煎じ茶と読む、文字通り煮出した茶でした。

日本でお茶が飲まれるようになったのは

お茶の原産地は中国で、2,000年以上前からの記録がありますが、日本では平安時代初期(815年)に当時の近江の国で天皇に茶を差し上げたとあるのが最初の記録だそうです。

主に貴族階級が飲んでいたようですが、それ以前からお茶は日本にも入ってきていて、単純な製法によって一般でも飲まれていたと推定した方が正しい、と中村先生は考えています。

では、なぜお茶が飲まれるようになったのかというと、お茶には眠気を覚ます効果や殺菌作用があることが知られていたからで、色合いや香りを楽しむというよりは、成分そのものに注目されていたからだそうです。

お茶の種類の決まり方

実は緑茶・ウーロン茶・紅茶はすべて同じ茶の葉で作られています。
では、なぜお茶の種類がいろいろあるのかというと、それには酸化が関係しています。

摘んだ葉はすぐに酸化しはじめます。つまり発酵です。
お茶の味や色は、葉がもっている酸化酵素をどれだけ働かせるかで決まるのます。
つまり、発酵をどの段階で止めるかによって、茶の種類が違うわけです。

これとは別に、ミャンマーなどには漬物にして食べるお茶もあるのだとか。ですがやはり素材はすべて同じ茶の葉です。

茶摘みした後の茶葉はどうするの?

中村先生によるとお茶の種類によって茶摘みした後の工程が異なってくるといいます。

茶葉を蒸したり、炒たりすることによって発酵を止めれば、茶葉本来の色や香りが残ります。つまり、緑茶は茶葉を摘んだあとすぐに蒸したり炒たりしています。

一方で、紅茶はあえて発酵させることにより、茶葉本来の色や香りとは異なった独特の香りと色、そして味わいを生み出します。
ウーロン茶は、発酵の程度が緑茶と紅茶の中間くらいに位置しています。
そして蒸すか、釜で炒るかなど、あるいは揉むか、揉まないかなど、作り方にはたくさんの組み合わせがあると中村先生に教えていただきました。

ちなみに緑茶の場合、蒸す方法では、茶葉本来の香りや色が残りやすいですが、中国で一般的な鍋で炒る方法では、多少焦げてしまい、香りや色も変わってきます。
また、茶葉を揉むとお湯を注ぐだけでエキスが多く出てきますが、揉まない場合には煮出さないとあまり出てきません。

中村先生によれば、緑茶は色合い、香り、出した時の色などでそのおいしさを見分けることができるそうです。
(ふで)

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