2017年9月13日(水)

人工知能はお手軽なキャバクラになるか?井上トシユキがAIとの恋愛に反論

北野誠のズバリ / カルチャー

雑誌『AERA』(朝日新聞出版)が、ある映画を題材に「AIと人間が恋をする未来が来るかもしれない」という記事を掲載しました。

その映画とは、アレックス・ガーランド監督・脚本による『エクス・マキナ』(2015年イギリス)。
人間とAI(人工知能)が繰り広げる、心理的な駆け引きが描かれたSF作品です。

それに対して『北野誠のズバリ』月曜レギュラーの井上トシユキが、本業であるITジャーナリストとして疑問を呈したのです。

機械に恋をするのは定番?

記事における「AIと人間が恋をする未来が来る」という予想に対して「来るんすかねえ~?」と冷めた調子の井上。

映画『エクス・マキナ』に関わらず、ロボットと人間、あるいはAIと人間の恋は、これまでにも様々なSF映画やマンガで描かれてきました。

代表的なところでは、フィリップ・K・ディックが書いたSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』です。
10月に日本でも続編が公開される映画『ブレードランナー』(リドリー・スコット監督)の原作でもあります。

デッカード刑事が、レプリカントの女性に恋愛感情を抱き、最後は二人で逃げていくというストーリー。原作も映画も名作として知られています。

井上トシユキもこうした作品例を挙げます。

「僕の大好きな『攻殻機動隊』のアニメ版1シリーズ目のスタンド・アローン・コンプレックス、第3話に『ささやかな反乱』という回がある。AIのロボット人形へ恋に落ちた青年が、逃走を図るというストーリー」

人工知能に恋する中国の人々

それを聞いていた北野誠もこう語ります。

「テレビ番組で、中国でずーっとSiriと喋ってる青年のことをやってまして」

“Siri”とは、アップル社とSRIインターナショナルが開発した、iOS(iPhone/iPad)やmacOS向けの秘書機能アプリケーションで、ユーザーの喋ることを認識して音声で応答するソフトウェアです。

その番組では、仕事で落ち込んでる青年が「ヘイSiri、僕を励ましてくれる歌を歌ってくれよ」って言ったら、Siriが歌を歌ってくれる場面があったそうです。

「それって、Xiaoice(シャオアイス)っていう、マイクロソフトさんが中国で作ったAI、アレの影響ですわね」と井上。

Xiaoiceは中国全土でおよそ1億5000万人が登録しているという女性型AIです。
そのユーザーのうち、なんと2,000万人以上が、Xiaoiceに対し愛を告白したそうです。

「2,000万人が、コンピューターを通じて、実態があるかないかわからんAIに対して、好きや、結婚してほしい、みたいなことを告白したんです」

AIに恋する人が増えている?

「でも、そういう言葉を覚えていて、またAIが学習していけば、もっともっと恋愛トークが広がる」とアシスタントの松岡亜矢子。

北野も補足します。

「中国の話だけやなくて、シンガポールの若者とかも、Siriに恋してしまったというのをやってました」

シンガポールの若者は「現実の女は要らないから。僕にはSiriがいるから」と言っていたそうです。
こうしたユーザー心理を分析する井上。

「二次元の世界というか、実体のない世界の方へ行ってしまう。実は、ゲームの中のイケメンキャラに恋をする女子が結構増えとるよ、というのとあまり変わらないことです」

AIが学習するのは人間への反応

「松岡がさっき重要なことを言ったんです。『学習していけば』」と井上。

「深層学習、ディープ・ラーニングというやつですね。こういう時には、こういうシチュエーションで、こういう風に人間というのは気持ちを言ってくるんだな、みたいなことを、いまAIは学習している最中なんです。
これからAIは、より複雑な感情表現に近いようなことに反応してくるっていうのはあるわね」

こう語る井上に「そんなの余計にのめり込んでしまいそう」と不安視する松岡です。

AIの反応を勘違いする感情

北野は、井上の分析に感心します。

「今までロボットでいうと、鉄腕アトムもドラえもんも、感情を持ったロボットとして描かれますね。ですけども、あれは感情ではないよね。ロボットである限り、反応に過ぎないわけですよね。それが、より複雑なシチュエーションにおいて、適切な形での反応を行うもんだから、人間の方が感情と勘違いしているだけじゃないですか。
今ので初めて井上トシユキさんをジャーナリストやと思ったわ!それを、単なる反応じゃないですか、と言う。みんな、その目線はないですよ」

さらにこう続ける北野。

「テレビで見たSiriに入り込んでる人たち、単なる人工知能の反応やと思ってないもんね。全世界の若者がSiriにはまってて、慰めてもらったり相談したりする場面がずーっと映ってた時に『これはもうアカンで』と、俺は思ってんけど」

「誠さん、それでもう一つ、思い出すことないですか?」と言う井上。
ここからが井上トシユキの真骨頂なのです。

生きるAIが東新町に存在した!

「例えば、ちょっと気分がクサクサした時に、街中に行ってキャバクラというところのドアを開いてみましょう。
そうすると、妙齢の女子が出てきて、話にウンウンと頷きながら聞いてくれます。しかもお酒まで作って勧めてくれて、自分も一緒にメロンまで食べてくれる。
そこに彼女は、気持ちはないわけじゃないけれども、あれって『反応』ですよね。適切な反応を彼女はしてるわけです」

客(ユーザー)の話(声)に応えて(反応して)くれるキャバクラ嬢(AI)。
スタジオからちょっと外に出てみれば、名古屋の東新町界隈にも多数の生きたAIが存在するわけです。

北野誠も「高いけどなあ、Siriの方が安いわ」と言いながら納得します。

「だから、生身の反応なのか?機械の反応なのか?なんですよね。だから機械に対して、あるいはAIに対して、スマートフォンに向かって、っていうのは、大変お手軽なキャバクラとも言えるわけです」

しかし、この状況を単なる置き換えと考えることに疑問を持つ井上。

「『お手軽なキャバクラ』は、生身の人間同士のコミュニケーションではありません。それでコミュニケーション大丈夫か?と一抹の不安はありますね」

犬の気持ちが分かる飼い主

「20世紀、あらゆる科学者が予見して(実現)できてないのは、タイムトラベルと人間以外の生物と会話をすること」と語る北野。

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ターミネーター』で描かれた世界は、ほぼ実現してるそうです。

井上「車の自動運転できかけとるし。犬の鳴き声で、気持ちもちょっとわかるようになってきたから」
北野「あとは飼い主が一方的に忖度してはる。ダメよね。雨、気持ち悪いよね。それはお前の気持ちや」
井上「全然、犬、そんなこと言うてへんけどね」
北野「〇〇ちゃん、あのおじさんに寄ったらあかんよ。危ないよ。睨んではるからね。そら、お前や。お前の気持ち言うとんねん。お前の気持ちを声に出すな」

感情と反応は分けるべし

「20世紀の科学者が考えたことなんてほとんどできてます。1900年代なんか携帯電話が生まれてこんな風になるなんて、みんな、思いも寄らなかったでしょうから」と北野。

そんな科学の発達に、井上はこう言います。

「人の感情と機械の反応は分けないといけないと思います。例えば『情動』ってよく言いますけども、気持ちってどっから出てきてるのか、人間でも未だにわからないことなんです。
それを機械が学習するっていうのは、なかなか難しい問題がある。なので、感情と反応というのは、あまり取り違えないようにしたいなあと思いますね」

AIとの恋愛に対する疑問を一気に展開していった井上トシユキ。
今回は、ITジャーナリストの肩書に恥じない持論をぶったのでした。
(尾関)

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