2022.6.29リリースのアルバム
『ah-面白かった』収録
☆楽曲紹介
日本の音楽業界を牽引、様々な革新的なスタイルで時代のカリスマとなった吉田拓郎が、1970年デビュー以来52年のアーティスト活動にピリオドをうつ、最新にして最後のアルバム「ah-面白かった」からの1曲。
「雪さよなら」は1970年に発売された1st アルバム「青春の詩」に収録された「雪」の完結編として新たに歌詞が加えられ、タイトルも「雪さよなら」として新録されたセルフカバー。
☆アルバムタイトルについての本人コメント
僕も家内(俳優の森下愛子)も母親に女手1つで育てられた。
母親は(どちらも)天国に行ってるから、よく家内と2人で亡き母の話をお互いにしたりして。
日本では女性の就職などがまだまだ考えられない時代。
でもそうした苦労や悲しみを、僕の母も家内の母も、あまり口にしたことがない。
どちらかというと明るく生き抜いたイメージが強い。「つらい」「悲しい」というのはほとんど聞いていない。
そんなときに、家内があるドラマに出演した。宮藤官九郎さんが書いた「ごめんね青春」(TBS系、2014年)。
そこで主人公の母親を家内が演じた。明るいお母さんだが、ある日若くして突然亡くなる。
息を引き取る瞬間に、酸素吸入器をつけたまま、ひとこと「あぁ面白かった」と語った。
「なんてすてきな生き方を、残っている家族に言葉で残して天国へ行ったんだろう」というのが染みてきた。
僕も家内も「(この世から旅立つとき)あぁ面白かった」って言いたいね、という話になって。
そこから家内と「もしかしたら僕の母も、君の母も『あぁ面白かった』って言ったかもしれないね」という話になった。
僕たちは母の死に際に立ち会っていないが。
「あぁ面白かった」といって自分を終了させる、なんてすてきな言葉なんだろう、ということになった。
まず「ah-面白かった」という曲を作りたい(と思った)。
僕の音楽人生は、苦しいことや嫌なことをいっぱい体験したが、
総じて「あぁ面白かった」なんじゃないの、というところに到達した。
そしていろんなことがトントンと進み、これはもう、「ah-面白かった」というアルバムになった。