名古屋おもてなし武将隊® 戦国音絵巻

茶会で天下統一した豊臣秀吉も、「掛詞茶会」は苦手?

400年前より現代に蘇りし戦国武将の集団・名古屋おもてなし武将隊®が、ラジオ界の天下一を目指す番組『戦国音絵巻』。
4/2の“出陣”は、織田信長、豊臣秀吉、陣笠隊の足軽・哉太郎(やたろう)です。

この日は番組史上最高に雅(みやび)な企画「掛詞茶会(かけことばちゃかい)」の第2回が開催されました。
戦国時代に数々の茶会で磨かれた、武将の言葉遊びの技術を披露してもらい、その“わび・さび”を堪能する企画です。

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茶葉の代わりに言の葉で

古くから日本では和歌において、「聞く」と「菊」の意味をかぶせるなどのいわゆる“掛詞”という技法があります。
そして戦国時代、千利休が完成させた茶の湯が流行し、茶会は一種の社交場となりました。
これらの風流的要素を組み合わせたのが「掛詞茶会」。身も蓋もない言い方だと「ダジャレ大会」です。

ただし、この茶会が行なわれる茶室では「スベる」という概念が一切ありません。その空間で発せられた言葉遊びをみんなが味わい、「結構なお点前(てまえ)で」と返す。これが掛詞茶会の楽しみ方なのです。

では、茶会を進めていきましょう。
まずは1つ目のお題は「金シャチ横丁」です。3/29(木)にオープンしたばかりの、名古屋城すぐそばにある商業施設のことで、“なごやめし”が食べられる飲食店やお土産販売店などが並ぶ様は、さながら城下町のよう。

この言の葉をどのように点(た)ててくれるのでしょうか。
早速、信長が名乗りをあげました。ちなみに、この企画はあまりに雅なため、信長は自然と公家っぽい、“おじゃる”口調になっています。

「金シャチにまたがると、新名所になる」

あれ?言葉遊びの部分が見当たりませんが…。

哉太郎「信長様、それは一体どういった意味でございましょう?」

信長「金シャチにまたがって進んで行くと、あの新名所に行けるという噂。そう、金シャチにまたがって。“金シャチ、よっこちょ”」

なるほど。「横丁」と「よっこいしょ」を掛けたわけですね。新名所というのは、金シャチ横丁のことだと思われます。
ただ、金シャチに乗って進むという設定がかなり無理やりですけれども。

やり方を把握できず…

掛詞茶会は初参加の秀吉、想像以上の高尚な企画に戸惑いながらも、挑戦してみます。

「何か、人にいいことをされたら、必ずこう言いたくなるであろう」

おや?こちらもどこが掛かっているのかわかりませんが…。

哉太郎「秀吉様、それはどういった意味でございましょうか?」

秀吉「例えば、金シャチ横丁で財布を落としたとしよう。その財布を拾ってくれた者に、こう言うじゃろ?
『ありがとうございます。私の財布を拾ってくれて、まことに金シャチしてます』」

金シャチしてます?…しばしの沈黙の後、意味が伝わったようです。
信長&哉太郎「なるほど。結構なお点前で」

秀吉「“結構なお点前で”をもらえて、お二方に金シャチしてます」

どうやら「感謝してます」と「金シャチしてます」とを掛けているようです。
「金シャチしてます」じゃなく、「金シャチてます」の方が伝わりやすかったかもしれません。

続いては、えまき~(戦国音絵巻リスナー)から送られてきた矢文(メール)です。
「金シャチ横丁で売られていた“金箔ソフト”が気になっているので、お題は『金箔』でお願いします」

金箔を乗せたソフトクリーム、確かに食べてみたいですね。

金箔をお題にして秀吉が披露します。
「何か大失敗をした時は、こういう状況になるな」

またもや、言葉遊び(ダジャレ)の要素がありません。
この企画では本来、まず最初にダジャレを言って、それを改めて説明するという流れになっています。
ギャグの説明をするなんて、実際にやったらとてつもなく恥ずかしいことなんですが、この掛詞茶会ではそれこそが風流の極みなのです。

しかし秀吉は、まず前フリを言って後からダジャレを言うという、小話のような構成にしてしまっています。おそらく、信長が最初にその手法を使ったために、初参加の秀吉はこれが普通だと思ったのでしょう。
ですがこれは難易度の高い特殊な手法で、何回も使うとまわりくどいだけになってしまうのです。

金箔は得意な秀吉。関白だけに。

とりあえず話を進めましょう。

哉太郎「秀吉様、それは一体どういった意味でございましょうか?」

秀吉「やはり皆々、失敗するとこういう状況に陥るじゃろ?それはどういったことか。
『はぁっ!失敗してしまった!上司がどえりゃあ怒っておる!この状況は、“緊迫”しておる』」

信長&哉太郎「なるほど。結構なお点前で」

すかさず信長が対抗します。

信長「金箔ソフト。金箔が貼られた氷菓子。金を見ると食べたくなる。“金、パクッ!”」

秀吉&哉太郎「なるほど。結構なお点前で」

さすが信長。キンパクト、いや、コンパクトにまとめました。

秀吉「まさか擬音を入れるとは。織田信長様、さすが、高貴なお方でぇごぉざぁいぃまぁすぅー」

公家を通り越して、能や狂言の口調になってしまう秀吉でした。

シュールには弱い?掛詞茶会

続いてのお題は「入社式」。これは難しいですね。それでも秀吉は挑戦します。

秀吉「新しい会社に入る。それは新しきことである」

哉太郎「秀吉様、それは一体どういった意味でございましょうか?」

秀吉「新しい会社に入るということは、“ニュー”社式でございますぅー。伴天連語(外国語)で新しいことをニューと言いまする。要するに、『新しい社式に入る』ということでござりますぅー」

「ニュー」と「入」を掛けるのはいいんですが、社式に入るって何でしょうか?
掛詞茶会にスベりの概念はありませんが、理解不能という概念は存在します。
これには信長も公家口調を忘れ「何かわからんなー」とボヤくのみ。

戦国時代には茶会を利用して武将たちを懐柔してきた秀吉ですが、掛詞茶会は苦手なようです。

そして最後のお題は「桜餅」。
もう秀吉は力を使い果たしてしまったので、ここは信長がキメます。

信長「力持ちの、更に上の者。そう、建物ごと持ち上げる。“さあ、蔵持ち”」

蔵(くら)を持ち上げるヤツなんて、そいつはもう、ジャッキです。
最後はまさに“力業”の信長でした。

そろそろお時間となりました。では、シメの言葉を信長から頂きましょう。

信長「これにて掛詞茶会を終わりにいたす。尾張だけに」
秀吉&哉太郎「いやぁ、信長様。結構なお点前で」

本日の掛詞茶会、お開きでございます。
(岡戸孝宏)
名古屋おもてなし武将隊® 戦国音絵巻
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2018年04月02日21時42分~抜粋

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